チェルシー・フィンは、周囲の環境を観察および模索することで学習するロボットを開発している。フィンのアルゴリズムでは、通常の人工知能(AI)を訓練するのに必要となるデータ量よりも少ないデータ量で訓練ができる。その量は非常に少なく、ソフトウェアを実行するロボットが、人間が動作する映像を1本見るだけで、物体を操作する方法を学べるほどだ。
フィンのロボットは、幼児のように振る舞う。大人が何かをするのを見て、真似をするのと同じだ。研究室にある木製の形合わせのおもちゃには、ロボットが赤いキューブを四角い穴にはめることを学ぶまでに何度もぶつけた場所に跡が残っており、このプロセスを証明している。
フィンの究極の目標は、特定のタスクを実行できるようにプログラムされているのではなく、一般的なスキルセットを自ら観察して学ぶように教え込まれているロボットを送り出すことだ。こうしたロボットは、工場でエンジニアチームに訓練されなくても学べるロボットや、ラベル付けされた画像で訓練しなくても物体を認識できる人工知能(AI)システムの開発につながる可能性がある。
フィンは、ロボットの妥当な中間目標を、テーブルのセットの仕方を教えることだと考えている。はじめに、複数の物体を配置する方法を学べるロボットを作る。「いろいろな意味で、ロボットシステムの能力はいまだに乳児レベルです」とフィンは話す。「彼らに常識を習得させることが目標です」。
(キャサリン・ブルザック)
- 人気の記事ランキング
- This US startup makes a crucial chip material and is taking on a Japanese giant 知られざる半導体材料の巨人 「味の素」の牙城を狙う 米スタートアップの勝算
- Promotion MITTR Emerging Technology Nite #28 「自動運転2.0 生成AIで実現する次世代自律車両」開催のご案内
- Why it’s so hard for China’s chip industry to become self-sufficient 中国テック事情:チップ国産化推進で、打倒「味の素」の動き
- Researchers taught robots to run. Now they’re teaching them to walk 走るから歩くへ、強化学習AIで地道に進化する人型ロボット
- How thermal batteries are heating up energy storage レンガにエネルギーを蓄える「熱電池」に熱視線が注がれる理由
タグ | |
---|---|
クレジット | Photograph by Kojo Acquah |
著者 | MIT Technology Review編集部 [MIT Technology Review Editors] |