気候テック10:従量課金でアフリカのEVバス普及を目指すバシゴー
ケニアのスタートアップであるバシゴーは、従量課金制のリースで電気バスを手頃にし、サハラ以南のアフリカのディーゼルバスの置き換えを目指している。 by Geoffrey Kamadi2026.10.07
- この記事の3つのポイント
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- バシゴーは従量課金制リースで電気バス普及を進め東アフリカの公共交通を変革中
- コロナ禍の運行停止で見えた澄んだ大気が電気バス事業のきっかけとなった
- 充電インフラ整備や現地人材育成が課題だがトラック市場への展開も視野に入る
バシゴー(BasiGo)はサハラ以南のアフリカの道路を走る数万台のディーゼル式バスを、はるかに排出量の少ない電気バスに置き換えることを目指している。同社の従量課金制のビジネスモデルは電気自動車をより手頃なものにする助けとなり、公共交通機関の運営方法を変えつつある。
2020年の新型コロナウイルス感染症のパンデミックを封じ込めるため、ケニア政府は公共交通機関を一時的に運行停止にした。運行停止はわずか3日間だったが、大気質の変化は劇的だった。空気はあまりにも澄んでいたため、アフリカ第2位の高峰であるケニア山が、約175キロメートル離れたナイロビから見えるほどだった。中にはさらに遠くにあるアフリカ最高峰のキリマンジャロ山を見つけた人もいたという。
このスモッグからの一時的な解放が、バシゴーの電気バス事業のアイデアを生んだ。同社の創業者たちは、ディーゼル式のバスやトラックがクリーンになれば大気がどうなるかを垣間見たのだ。それ以来、同社はケニアとルワンダで顧客にリースする100台以上の電気バスの車両群を構築してきた。これらのバスはバシゴーの創業以来、1500万人の乗客を運んでいる。
同社は自社でバスを製造しているわけではない。車両は中国から輸入され、ケニアで組み立てられる。バシゴーの革新性は、自社の電気バスを内燃機関バスとより競争力のあるものにする幅広いサービスを提供している点にある、と共同創業者兼最高経営責任者(CEO)のジット・バタチャリヤは語る。他のバス会社のように単にバスを運行事業者に販売するのではなく、バシゴーはバスをリースし、整備サービスや保険を提供し、顧客向けに充電ネットワークを整備している。顧客は主に個人の運行事業者か、ケニアに300以上存在するバス協同組合である。
主要指標
- 業界:電気自動車
- 設立:2021年
- 本社:ケニア、ナイロビ
- 注目すべき事実:バシゴーはサハラ以南のアフリカにおいて、世界最大の電気自動車用電池メーカーであるCATLの公認サービスプロバイダー第1号である。同社自身のバスはCATL製電池を使用しており、バシゴーの従業員は他の車両の電池を修理する訓練も受けている。
潜在的インパクト
電気バスの初期価格は内燃機関モデルと比べて非常に高い。しかし燃料費の節約により、長期的には電気自動車の方が費用は低くなる。バシゴーのモデルは、電気バスを車両群に加えたいと考えるアフリカの民間バス運行事業者にとって、高額な初期費用という障壁を取り除くことを目指している。
この方式では、運行事業者はわずかな頭金を支払う。バタチャリヤによると、これはディーゼルバスを購入する際の頭金より40%少ないという。その後、運行事業者は従量課金制の日払いリース料を支払う。バタチャリヤの試算では、運行事業者はバシゴーのバスの耐用期間全体で、ディーゼルバスと比較して5〜10倍高い投資収益率を得られるという。
排出量に関して、バタチャリヤとそのチームの試算によると、ケニアでディーゼルバス1台を電気バスに置き換えると、年間50トンの二酸化炭素排出量を回避できるという。現在ナイロビだけで約2万台のバスが運行しているが、すべてのバスが電気化されれば、輸送分野の排出量を劇的に削減できる可能性がある。
同社のバスは国内で発電された再生可能エネルギーで走る(ケニアのエネルギー構成の90%は再生可能エネルギーだ)ため、輸入に頼らざるを得ない燃料と比べ、運行によってより多くの資金が地域経済に留まることになる。また電気自動車への切り替えは、大気中の粒子状物質の減少による小児ぜんそく症例の減少など、健康面での効果も期待できる。
留意点
バシゴーはバスの部品の多くを、キング・ロング(King Long)やBYDを含む中国企業から調達している。しかしバスはケニア国内で組み立てる必要がある。そのため同社は、事業を展開するすべての拠点でバスを製造、修理、整備する人材の育成に多くの時間とリソースを費やさねばならず、これは今後の事業拡大において課題となる可能性がある。
同社はまた、電気自動車用充電器のような新たな大電力負荷に対応するためのインフラ整備にも、多額の初期費用がかかるという課題を抱えている。そしてバタチャリヤによると、充電は路線上かつ送電線の近くに立地する土地を必要とするため、充電拠点用の土地を確保するのは「高額で複雑」だという。
次のステップ
現時点で150台以上のバシゴーのバスが道路を走っており、同社はさらに多くの車両が利用可能になるのを待ってリース契約を希望する1200人の顧客の予約リストを抱えている。
すでに通勤用バスから都市間コーチサービスの提供へと事業を拡大したバシゴーは今、道路上で次に大きな汚染源であるトラックに狙いを定めている。同社はまだ計画の詳細を発表していないが、続報に注目してほしいとしている。
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- ジェフリー・カマディ [Geoffrey Kamadi]米国版 寄稿者
- ナイロビを拠点に活動する受賞歴のあるフリーランスのジャーナリスト。科学、気候変動、環境、技術、開発を専門に取材している。