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気候テック10:AI需要にも対応、中国の風力大手エンビジョン
Envision
Envision Energy and its global ambitions for wind power

気候テック10:AI需要にも対応、中国の風力大手エンビジョン

中国の風力タービン大手エンビジョン・エナジーは、海外への事業拡大を進めるとともに、風力と蓄電池でAIデータセンターに電力を供給する。 by Cici Zhang2026.10.14

この記事の3つのポイント
  1. 中国エンビジョンが風力発電で直接給電するAIデータセンターを世界展開へ事業拡大中
  2. 電力需要急増とデータセンターの電力消費拡大を背景に再生可能エネルギー需要が高まっている
  3. 変動する再生可能エネルギー出力と安定供給の両立、現地展開に伴う許認可や運用面の課題が残る
summarized by Claude 3

中国は世界のどの国よりも速いペースで風力タービンを設置している。同国の大手タービン・メーカーの1社であるエンビジョン・エナジー(Envision Energy)は現在、自社の技術を海外に輸出し始めている。同社は欧州、中南米、オーストラリアのパートナーと協業しており、最近では世界各地の乾燥地域にある人工知能(AI)データセンターへの電力供給に向けた取り組みを開始した。

世界全体で103ギガワットの風力発電設備と50ギガワット時を超えるバッテリー式エネルギー貯蔵システムを有するエンビジョンは、世界最大級の再生可能エネルギー企業の1社である。同社は風力分野でのイノベーションを続けており、風況に応じて性能を調整する「スマートタービン」と呼ばれる製品を投入したほか、従来の3枚翼タービンよりも低コストになり得る2枚翼モデルも試験している。

起業家の張雷(チャン・レイ)によって2007年に設立されたエンビジョンは、特に中国国外での事業拡大に重点を置きながら勢力範囲を広げている。同社はすでに設置容量で中国第2位の風力タービン・メーカーであり、過去4年間にわたり競合他社のどこよりも多くの受注を獲得してきたとしている。

ドイツでは、よりレジリエント(回復力がある)で柔軟な送電網を支えるバッテリー式エネルギー貯蔵システムの建設を予定している。ブラジルでは、風力エネルギーを動力源として持続可能な航空燃料や水素、アンモニアを製造するネットゼロ型の産業団地(2025年5月に初めて発表)の開発を依然として計画している。オーストラリアでは、すでに17基のタービンを設置し、エネルギーの流れと供給を最適化するフィジカルAIシステムを稼働させている。

最新の取り組みとして、エンビジョンは風力タービンで発電し、バッテリーで現地に蓄電することで、再生可能エネルギーをデータセンターに統合している。同社は最近、中国の赤峰(せきほう)市に開設した施設で、データセンターの電力を完全に再生可能エネルギーで直接賄う初の企業となった。AIを活用したシステムが出力を最適化することで、風が吹いているかどうかにかかわらず、データセンターは安定した再生可能エネルギーの供給を受けられる。


主要指標

  • 業界:風力タービン
  • 設立:2007年
  • 本社:中国・上海
  • 注目すべき事実:エンビジョンがオーストラリアのナロジン・ウィンドファーム(Narrogin Wind Farm)向けに建設を計画しているスマートタービンは、10万戸近くの家庭に電力を供給する一助となる。

潜在的インパクト

電力需要が世界全体で年率3.5%から4%増加している中、エンビジョンの事業拡大は、世界のより多くの地域に信頼性の高いクリーン・エネルギーをもたらす可能性がある。

国際エネルギー機関(IEA)によると、風力発電は現在すでに年間11億トンの二酸化炭素の排出を抑制している。これはフランス、ドイツ、イタリアの年間炭素排出量を合計した量に相当する。アクセスが困難な地域を含め、世界中で風力発電が完全に整備されれば、2050年までに世界の電力の3分の1を供給する能力があり、理論上は約63億トンの炭素排出を回避できる可能性がある。

一方で、データセンターは既存の送電網に深刻な負荷をかけている。これらの大規模施設は、2030年までに世界全体で年間最大950テラワット時の電力を消費する可能性があり、これは日本の年間総電力需要にほぼ匹敵する量だ。現在、ほとんどのデータセンターは化石燃料由来の電力で稼働しており、再生可能エネルギー源への切り替えは二酸化炭素排出量を大幅に削減し得る。

留意点

風力発電プロジェクトを成功させる上で、技術は方程式の一部にすぎない。風力タービンのメーカーは、現地のプロジェクトチームと連携し、許認可や環境要件に対応し、地域社会と関わる必要もある。エンビジョンは各国際市場で統合型エネルギーシステムの構築を目指しているが、それには現地のエコシステムの構築からパートナーシップや運用面での能力開発に至るまで、さらなる課題が伴うだろう。

AIデータセンターにとっての課題は、再生可能エネルギーの調整にある。AI施設には安定した電力供給が必要である一方、太陽光や風力の出力は絶えず変動するためだ。エンビジョンによると、同社の大規模予測モデルは発電、蓄電、需要をリアルタイムで均衡させるのに役立つという。しかしこうした施設には、安定した電力供給を確保するために依然として多くの冗長性が必要となる。

次のステップ

エンビジョンは、欧州、アジア太平洋地域、中南米、アフリカにまたがる地域での世界的な事業拡大を継続しようとしている。洋上風力発電は重要な成長分野となるだろう。ベトナムでは、2027年上半期に200メガワットの風力発電プロジェクトの引き渡しを開始する予定であり、これは同社にとって海外最大の近海プロジェクトとなる。

コンピューティング分野では、2026年6月に「ゴビ計画(Mission Gobi)」を発表した。これは2030年までに世界各地の砂漠やその他の乾燥地域にある新しいデータセンターを支えるため、再生可能エネルギーのみで発電する5ギガワットの電力容量を開発することを目指す取り組みだ。エンビジョンによると、これらのデータセンターは水の代わりに、代替冷却剤とドライクーラー(空気や液体を使ってサーバーラックから熱を運び去るシステム)を組み合わせて冷却されるという。この取り組みの下での第1号プロジェクトは、内モンゴル自治区ウランチャブ市にあるエンビジョンのギャラクシー・キャンパス(Galaxy Campus)だ。8月に稼働を開始したこの施設は風力エネルギーで直接電力を供給されており、完成したあかつきには2ギガワットに達する見込みだ。

ゴビ計画が成功すれば、コンピューティングのニーズ、エネルギー需要、そして気候目標のバランスを取りながら、大規模なAIインフラを構築するための道筋となる可能性がある。

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