ウィリアム・ウッドフォード(フォーム・エナジー)

William Woodford ウィリアム・ウッドフォード(フォーム・エナジー)

次世代の送電網を支えるリチウムイオン電池に勝る材料を探究している。 by MIT Technology Review Editors2018.07.07

再生可能エネルギーが機能するには電池が必要だ。さもなければ、太陽が沈んだり風が吹かなかったりしたときに、電灯が消えてしまう。テスラやヒュンダイのような企業は、オーストラリアと韓国にサッカー場規模のリチウムイオン電池を建造することでこの問題を解決しようとしている

しかし、このような巨大電池は高く付く。

「リチウムイオン電池には、使用する材料によって決まるコスト下限があります」と、フォーム・エナジー(Form Energy)のウィリアム・ウッドフォードCTO(最高技術責任者)はいう。「どれだけ安く組み立てようとも、一定量の有効成分があって、そのコストがかかります」。したがって、イーロン・マスクがいかに大きくて安い電池を作れると言っても、どこまで安くできるかには限界がある。たとえば炭酸リチウムは1トンあたり2万ドルする。

この問題を解決するため、ウッドフォードは金属硫黄反応が、エネルギー貯蔵時間とコストの面で、リチウムイオン電池テクノロジーに勝る可能性を持つことを突き止めた。おまけに、硫黄は安くて豊富に存在するうえ、石油やガスを生産する際の廃棄物として利用されずに捨てられることが多い。

(ダン・ソロモン)