スヴェンヤ・ヒンダラー(フラウンホーファー研究所)

Svenja Hinderer スヴェンヤ・ヒンダラー(フラウンホーファー研究所)

生物分解性で再手術の必要性を無くす心臓弁のデザイン。 by MIT Technology Review Editors2017.08.17

 8万5000人以上のアメリカ人が人工心臓弁を取り付けられている。しかし、人工心臓弁は永久にはもたない。そのため、いずれ弁を取り替える必要が出てくるが、それには高価で侵襲的な手術を伴う。さらに子供の場合、この手術を複数回繰り返さなければなならい。

ドイツのシュトゥットガルトにあるフラウンホーファー研究所(Fraunhofer Institute)のグループリーダーであるスヴェンヤ・ヒンダラーは、生物分解性の心臓弁を創り出している。ヒンダラーの研究によると、この心臓弁は時間がたつにつれ、患者自身の細胞で置き換えられていくことを強く示唆している。

生物分解性の心臓弁を完成させるためにヒンダラーは、生物分解性の繊維でつくられた足場を創り出した。この繊維は健康な組織のような弾力性をもち、そこに血液の中を巡回している幹細胞を引き寄せる働きをもつタンパク質を付着させる。この心臓弁は、移植されるとすぐに定着し、その後、2〜3年のうちに患者自身の細胞によって置き換えられるという。

(ラス・ジャスカリアン)