ジョージ・ボアテング(スアコード・ドット・AI)

George Boateng ジョージ・ボアテング(スアコード・ドット・AI)

スマートフォン・ベースのプラットフォームを創設し、アフリカの若者たちにプログラミング講座を提供することで、ITスキルのギャップを埋めようとしている。 by MIT Technology Review Editors2022.01.13

ジョージ・ボアテングのベンチャーである「スアコード・ドット・AI(SuaCode.ai)」は、偶然生まれたと言っても過言ではない。2013年、ダートマス大学の学部生だったボアテングは、友人たちとともに彼らの出身国ガーナの高校生向けに夏のイノベーション・ブートキャンプを立ち上げた。数年後、ブートキャンプに寄付されたノートPCが壊れ、難題に突き当たった。自分のPCを持っている現地の高校生は4人に1人だけだが、足りない分を購入すれば予算が底をつく。しかしながら、高校生たちは全員スマートフォンを持っていた。そこでボアテングたちは、コーディング・モジュールを5インチのディスプレイに収まるように再設計した。

この試みは大成功を収め、そこからスピンオフが展開した。2018年、ボアテングと共同創業者のヴィクター・クンボルは、スマートフォン・ベースの8週間のコーディング講座「スアコード」の最初のパイロットテストを実施した。この講座ではJavaベースのプログラミング言語である「プロセッシング(Processing)」を学ぶことができる。現在までに20カ国以上、600人以上の学生たちが履修した。

現在はスイス連邦工科大学チューリッヒ校の博士課程大学院生として応用機械学習を研究しているボアテングは、英語とフランス語を話す人工知能(AI)ティーチング・アシスタント「クワメ(Kwame)」も開発した。この名前はガーナの初代大統領クワメ・エンクルマにちなんでいる。「彼の汎アフリカ的ビジョンは、アフリカ大陸全土の若者を支援するという、私たちの目標と共鳴するものです」と、ボアテングは語る。

ボアテングは、自動化されたコースである強みを生かして、さらに多くの学生たちを招き入れたいと考えている。早い段階でプログラミングに触れることは、その後の学習の基盤となり、ゆくゆくはテック業界の高報酬の仕事につくことに役立つだろう。

(Jonathan W. Rosen)