多段階の化学反応をAIで予測、創薬などへの適用に期待

AI can invent new ways to create complex molecules 多段階の化学反応をAIで予測、創薬などへの適用に期待

何百万もの化学反応の事例を用いて訓練された新しいアルゴリズムは、有機化合物を作るために必要な段階を科学者たちに教えることができる。 by Jackie Snow2018.03.30

何百万もの化学反応の事例を用いて訓練された新しいアルゴリズムは、有機化合物を作るために必要な段階を科学者たちに教えることができる。

マンチェスター大学の研究者らは、現在知られている1240万の単一段階の有機化学反応のデータセットで、ニューラル・ネットワークを訓練した。これによってニューラル・ネットワークは、一層複雑な分子を作り出すための込み入った多段階の連鎖反応を、アルゴリズムに化学法則を一切記述しなくても予測できるようになるのだ。

アルゴリズムを開発した研究者たちは二重盲検法による試験を実施し、9つの異なる分子を作り出す可能性のある合成経路をそれぞれ2つずつ(アルゴリズムと人間の科学者からそれぞれ1つずつ)、45名の化学者に提示した。ネイチャーによると、化学者たちはどちらか一方が提案した合成経路の方が優れているとは判断しなかったという。そしてアルゴリズムが提案したうちの8つは、実験室で試してみると適切に機能した。

現在、化学者らは、この種の化学反応レシピを作り出すために、既存の反応過程を苦労して調べている(少しの直感もある)。何日もかかるような作業だ。新たに開発されたツールは、創薬のような分野での基礎的な科学を加速させ、化学者らは自由に他の仕事ができるようになるだろう。