「世紀の大発見」目指す科学者、古代DNAの抽出競争が激化

Industrialization of ancient DNA search sets off a “bone rush” 「世紀の大発見」目指す科学者、古代DNAの抽出競争が激化

はるか古代の遺伝子の発見競争において、科学者たちは「工業的」プロセスを用意してしまった。洞窟から出土されたり、博物館のコレクションから集めたりした古代の人骨からデオキシリボ核酸(DNA)を抽出するための工業的プロセスだ。 by Antonio Regalado2018.03.23

はるか古代の遺伝子の発見競争において、科学者たちは「工業的」プロセスを用意してしまった。洞窟から出土されたり、博物館のコレクションから集めたりした古代の人骨からDNAを抽出するための工業的プロセスだ。

現代のDNAが混ざって汚染されないように、作業は気密されたクリーン・ルームの中で宇宙服を着た科学者が実施する——と記されているのは、古代のDNAの専門家、ハーバード大学のデイビッド・ライヒ教授についてのニューヨーク・タイムズ紙上の人物紹介である。

最高品質の古代のDNAは内耳の中に見つかる。それを取り出すには骨を破壊することになる。より優れた手段を持つ未来の科学者たちは、おそらく過去を振り返って嘆くことだろう。

古代の標本を手に入れて最初に大発見をしようとする競争は、次第に熾烈になってきている。ウィスコンシン大学の古人類学者であるジョン・ホークス教授はツイッター上で、現状には「強い違和感があります」という。「古代のDNAの抽出はもはや工業的プロセスとなって、数千もの古代の人々の骨を粉々にしています。『ボーン・ラッシュ』の雰囲気ができあがってしまったようです」。