テンセントがロボット研究所を開設、中国の製造業中心部に

Tencent is putting a robot research lab in China’s manufacturing heartland テンセントがロボット研究所を開設、中国の製造業中心部に

中国最大のソーシャル・ネットワークとチャットのプラットフォーム「ウィーチャット(WeChat)」を運営する巨大IT企業であるテンセント(Tencent)が、同社の人工知能(AI)の研究に生命を吹き込もうとしている。 by Will Knight2018.03.19

中国最大のソーシャル・ネットワークとチャットのプラットフォーム「ウィーチャット(WeChat)」を運営する巨大IT企業であるテンセント(Tencent)が、同社の人工知能(AI)の研究に生命を吹き込もうとしている。

テンセントは、中国の製造業の中心地である深セン市にロボット工学研究所を開設することを、3月15日のAI関連イベントで発表した。同社はこの新しい刺激的な最先端技術の探究が、大きな利益をもたらす可能性があると考えているようだ。

なぜロボットなのだろうか? テンセントはすでにさまざまなAIアルゴリズムを研究しており、ディープマインド(DeepMind)の囲碁プログラム「アルファ碁(AlphaGo)」に匹敵する「ファイン・アート(Fine Art)」というプログラムさえ持っている。だが、複雑な現実世界で動くシステムを制御するAIソフトウェアの開発はより難しい。ロボットが現実の物体とやりとりするうえでの課題は、コンピューター・ビジョンと言語に関するAI研究にもフィードバックできる。

世界の工場を再構築したいとの意図もある。ロボットは現在、深センの低賃金労働者がこなしているような製造作業ができない。たとえば、電子部品の組み立てなどだ。だが中国では、これらの労働者の賃金が急速に上昇しており、ロボットにより多くの作業を任せたいという要求がある。新設する研究所は、その取り組みに貢献するには理想的な位置にある。

中国企業はすさまじいペースでAI研究を加速させている。テンセントはすでにAIに焦点をあてた2つの研究所を有しており、主要学会でAI研究の発表をしている。中国の他の2つの巨大IT企業であるアリバババイドゥもまたAI研究における主要な勢力となっている。米国は動向にもっと注視したほうがよさそうだ。