クアルコム、省電力稼働の画期的画像センサーを開発中
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Qualcomm Wants Your Smartphone to Have Energy-Efficient Eyes クアルコム、省電力稼働の画期的画像センサーを開発中

クアルコムは、省電力稼働の画期的画像センサーを開発中だ。省電力で動作する画像センサーは、コンピューター・ビジョンに基づいており、ユーザーの顔を識別して携帯電話のロックを解除できる。 by Stacey Higginbotham2017.03.31

携帯機器向け半導体部品メーカーのクアルコムは、携帯機器でユーザーをもっときめ細かく把握できるようにしたい。

クアルコムは、レンズや画像センサー、コンピューター・ビジョン・アルゴリズムが動作する低電力プロセッサーを製造するためのテクノロジーを開発中だ。クアルコムが「グランス(Glance)」と呼ぶ部品は、カメラより安く、はるかに少ない消費電力で動作する。しかもグランスは、人間を検出し、特定の行動を取っているかどうかを判断できる(飛び跳ねているか、センサーに近づいているか、遠ざかっているかなど)。さらに、手や腕の特定のジェスチャーも判別できる。

どのコンピューティング機器メーカーも、自動運転や自動出庫用に、何らかの形でコンピューター・ビジョン機能を製品に追加しようとしている。クアルコムの場合、グランスは製品化前の段階だが、開発によって、低電力コンピューティングの専門知識を活用し、急成長中の携帯機器分野の市場に参入する機会が得ようとしている。携帯機器メーカーやセンサーメーカーは、スマホから家電製品まで、製品に新機能を追加できるグランスの機能について、すでに評価し始めている。

クアルコムのジェフ・ヘンケルズ・ディレクター(製品管理・事業開発担当)は、グランスによって、スマホ上で新しいセキュリティ機能が実現するという。ヘンケルズ・ディレクターは、あるメーカーは虹彩スキャンでユーザーを特定して携帯電話のロックを解除することに興味があるという。このとき、スマホのカメラを常にオンにしたままではバッテリーを消費してしまう。スマホ内のカメラ部品が数百ミリワットの電力を消費するのとは対照的に、グランスは約2ミリワットしか電力を消費しないのだ。

ヘンケルズ・ディレクターによれば、省電力で動作するグランスのセンサーは、常に世界を見渡せるという。ただし解像度は320×240ピクセルにすぎず、顔認識や人の虹彩の画像を解読するなどの処理ができるほどには性能は高くない。スマホの前面カメラを起動し、画面を見て、虹彩をスキャンしてユーザーと認識する用途では十分だし、時間はかからず、画面を何度もタップする手間が省ける。

家庭向け製品にもグランスは進出しそうだ。電化製品や玩具は、家庭内で何が起きているのかを把握できる。たとえば、人形にグランスを埋め込めば、子どもの顔がそばにあることを検出できる。

ヘンケルズ・ディレクターによれば、機器メーカー数社がグランスのサンプルとソフトウェア開発キットを入手しており、スマホ販売会社は虹彩スキャン機能を試験中だという。ただしヘンケルズ・ディレクターは、グランス搭載の製品の出荷時期や、クアルコムがグランスを市販用に製造する時期については言及しなかった。

クアルコムは製品の出荷を急いだ方がよさそうだ。昨年、インテルは、小型機器から自動車のような大型機械を対象とした画像処理ハードウェアを開発するモビディウスとモービルアイの2社を買収した。2016年、半導体部品のライセンス企業であるARMは、小型機器向けの低消費電力コンピューター・ビジョンの提供に向け、アピカルを買収した。イスラエルのエムザ等、他のスタートアップ企業も、低電力コンピューター・ビジョン部品を提供しようとしている。得にエムザは、消費電力が5ミリワット未満の部品を提供している。

住宅や商業施設の異常を検出するために幅広い種類のセンサーを利用しているワンイベントのカート・ウェディグ最高経営責任者(CEO)は、新しいデータソースは非常に有用だが、消費者の一部は、この主のアイデアを押し付けがましく思うだろう、と考えている。

グランスはカメラとは異なる製品だが、長い間使われてきたホーム・セキュリティーや、現在増えつつある高齢者の介護などに使われているシンプルなモーション・センサーよりも、詳細な情報を集められる。ウェディグCEOは「モーション・センサーは、高齢者の近くで動作させても体を傷つけることはありません。多くのデータポイントが得られますし、消費者から見れば、カメラがないほうが、プライバシーの点で受け入れやすいのです」という。

クアルコムによると、グランスは画像を保存したり、送信したりはできない、という。センサーが機器に伝えられる唯一のデータは、センサーが検出したこと(たとえば人がいるという事実)だけだ。クアルコム等の企業は、コンピュータ-・ビジョンの成果で生まれる新機能は、最終的にはプライバシー面で懸念されなくなる、と確信している。