グーグルとアマゾンが相次いでセキュリティビジネスを強化

Alphabet and Amazon want to protect you from hackers. That’s a blessing and a curse グーグルとアマゾンが相次いでセキュリティビジネスを強化

大規模テック企業はサイバーセキュリティ・ビジネスにますます深入りしようとしている。 by Martin Giles2018.01.26

巨大テック企業は、サイバーセキュリティ・ビジネスにますます深入りしようとしている。

グーグルの親会社であるアルファベットは、「クロニクル(Chronicle)」と呼ばれる新たなサイバーセキュリティ会社を立ち上げた。クロニカルはアルファベット傘下の研究子会社エックス(X)からのスピンアウト。一方アマゾンは、米国国家安全保障局(NSA:National Security Agency)の元職員が立ち上げたセキュリティのスタートアップ企業スクワール(Sqrrl)の買収を済ませたばかりだ。伝えられるところによると、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)のクラウドの顧客に、より充実したセキュリティ・サービスを提供したい考えだという。

巨大テック企業は自社の優良事業を守るために、最も有能なセキュリティ人材を確保している。巨大テック企業のクラウドサービスを利用する顧客は、そうした企業の優れたノウハウや技術インフラの恩恵を受けられるわけだ。

一方で、巨大テック企業が私たちのデータに対して持っている支配力に関して、すでに大きな懸念が広がっている。データのセキュリティが委ねられることで、大規模テック企業への事業依存がさらに高まる可能性がある。セキュリティ専門家のブルース・シュナイアーは、彼が言うところの「封建的セキュリティ」の危険性を強調している。起業家もテック業界の巨獣に押しつぶされることを恐れて、セキュリティに焦点を当てたスタートアップ企業の立ち上げに二の足を踏むかもしれない。そうなれば、セキュリティ業界が大いに必要としている新しいアイデアが創出される機会が失われかねない。