タンザニアが方針転換 遺伝子組み換え作物を容認
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Tanzania’s First Genetically Modified Crop Trial Has Begun タンザニアが方針転換
遺伝子組み換え作物を容認

多くのアフリカ諸国は遺伝子組み換え作物の栽培や輸入に消極的だったら、干ばつによる食糧難のため、反対意見が劣勢になっている。 by Jamie Condliffe2016.10.06

アフリカの多くの国は遺伝子組み換えで丈夫な作物種を栽培する重要な候補地だが、遺伝子組み換え作物を全面的に受け入れる国はほとんどない。しかし今週、タンザニア史上初の遺伝子組み換え作物の種が試験の一環で撒かれ、アフリカ大陸各地で遺伝子工学テクノロジーが使われる、かすかな希望が見えてきた。

今年は異常な高気温と例年よりも強力なエルニーニョ現象によって、アフリカの多くの地域が壊滅的な干ばつに苦しみ、深刻な農作物不足が生じた。こうした現状を踏まえると、水不足に耐えられる作物は、十分な食料を確保するための資源として、アフリカ大陸各地でこれまで以上に貴重になるだろう。ビル・ゲイツも、アフリカで飢える人をゼロにするのに遺伝子組み換え作物が役立つという信念を高らかに語っている

しかし、遺伝子工学はヨーロッパと同じくらいアフリカでも議論が多い。タンザニアよりも早くウガンダで試験されたマトケ(食用バナナの一種)と呼ばれる遺伝子組み換え作物の試験は、ケニア政府への集中的なロビー活動により、2012年に遺伝子組み換え作物の輸入が禁止された。南アフリカはアフリカ大陸で公然と遺伝子組み換え作物を認めている数少ない国のひとつだが、非常に厳しい制約下で遺伝子組み換え作物を栽培していたが、実は、南アフリカは今年の干ばつをこうした厳しい規則のいくつかを緩和するために利用した

多くのアフリカ地域同様、レソトは2016年の強力なエルニーニョ現象による干ばつによって大きな打撃を受けた(写真は収穫したトウモロコシを選別するレソトの農民モラコアナ・モリーザ)

しかし今週、他国と比べて遺伝子組み換え作物に消極的な国のひとつであるタンザニアが、ついに作物の試験の実施を決定した。「ヨーロッパのNGOの影響を受けて、昨年までタンザニアは植物の遺伝子組み換えを非常に厳しく法律で規制していたため、科学者は研究を続けられませんでした。今、それが変わったのです」と環境活動家のマーク・ライナスは、発表されたニュースを解説した。

計画では、アフリカ向け水有効利用トウモロコシ(WEMA:Water Efficient Maize for Africa)プロジェクトによって開発された干ばつに強い白いトウモロコシ雑種がタンザニアで効率的に成長できるかどうかを明らかにする。WEMAによって開発された品種はロイヤリティフリーなので、比較的小さな土地で働く農業従事者が気軽に利用できる。

最初の実験が上手くいけば、来年には、虫に対して耐性を持つトウモロコシが試験されるかもしれない。

また、他の国も遺伝子組み換え作物の扱い方を再検討しているようだ。今年の初め、ザンビアは遺伝子組み換え作物の受け入れを表明し、ケニアは遺伝子組み換え作物の輸入禁止をすぐにも撤回するのではないかと見られている。遺伝子組み換え食物はこれからアフリカの人々の食料として役立つのかもしれない。

(関連記事:Cornell Alliance for Science, “As Patents Expire, Farmers Plant Generic GMOs,” “Why We Will Need Genetically Modified Foods”)