捜査機関もソーシャルネットワークを活用中(特に有色人種の監視に便利)
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How Do We Stop Our Social Feeds from Being Spied On? 捜査機関もソーシャルネットワークを活用中(特に有色人種の監視に便利)

私たちがソーシャルネットワークを生活の一部にしていることを、当局は利用している。 by Jamie Condliffe2016.10.13

フェイスブックとツイッター、インスタグラムは、ファーガソンとボルチモアで警察に提供したデータがマイノリティの追跡調査に使われていたことが、アメリカ自由人権協会(ALCU)の調査でわかった。ただし、こうした「捜査手法」は避けようがなく、利用を阻止するにはユーザーがソーシャルメディアの使い方を変えるしかない。

調査で明らかになったのは、3社とも公開済み投稿のデータをジオフィディアという企業に提供したことだ。インスタグラムはジオフィディアにすべての公開済み投稿(位置情報含む)をAPI経由のアクセスで提供し、フェイスブックはランク付けされたストリームとして、特定のトピックに言及した公開済み投稿をいわゆるトピックフィードAPI経由のアクセスで提供していた。ツイッターは、検索可能な公開ツイートのデータベースへのアクセスを提供した。

ジオフィディアが有名になったのは、この種のデジタルコンテンツを解析し、監視情報を捜査当局(クライアント数は500以上)に提供してきたからだ。現在までの監視対象はどうやら有色人種の活動だ。警察への営業メールで、ジオフィディア側は「会社はファーガソン/マイク・ブラウン(警察に射殺された黒人青年)の動きを全米で把握し、大成功を収めた」と成果を強調している。

ワシントンポスト紙に掲載されたACLUのニコル・オゼルの説明によれば、同協会はこれを許容できない、としている。

「これらのプラットフォームは、有色人種の活動家に対して、もっと言論の自由を保護し、警察の監視活動への協力をやめる必要があります。ACLUが、フェイスブックやツイッターに、開発者がAPI経由で何をしているか教える必要はありません。こうした企業に必要なのは、強力な公開ポリシーと堅牢な監査手順を制定し、確実に自社のプラットフォームの用途から差別的監視活動を外すことです」

ALCUの調査実施後、フェイスブックとツイッターは、ジオフィディアに対するデータ提供を全面停止ないし修正した。

もっとも、このレポートで特に議論が分かれるのは、提供されたデータの多くは公開済みで、理屈上は少なくとも今もジオフィーディアからアクセスできることだ。APIアクセスを制限しても、ジオフィディアは手間をかければ同じ情報を取得でき、特定ユーザーによるアクセスを「選別」すれば、明らかにソーシャルネットワークの利用規約を侵害することになる。そうしたデータが欲しければ、制限をかけられてもアクセスは可能であり、制限を無視し、回避するのを好む人もいる。

このニュースが意味しているのは、単にソーシャルネットワークを使うことを選んでいるだけで、監視社会を実現しているのは私たちみななのだ。もちろん「デジタルな覗き」が問題なのは、私たちが生活をデジタル化して以降の話だ。だが、より多くの人がオンラインで生活を共有するにつれ、監視の目はより簡単に世界全体に及ぶようになる。

問題の解決策はいくつかある。まず、常にソーシャルネットワークのアカウントをロックし、データを開示せず、他者に読ませないようにして、確実にソーシャルネットワークによる情報共有を阻止することだ。ただし、この方法が有効なのは、フェイスブックのように、内輪のパーティーでハメを外した写真を他人には無制限で見せなくないような環境だ。ツイッターのように、開放的なコミュニケーションを特徴にする環境では、あまり有効な方法ではない。

恐らくより確実なのは、自分からソーシャルメディアを遠ざけておくことだ。もしそうできるなら、少しはスパイ行為の力を削げるだろう。同じようなことを、トリスタン・ハリス(元グーグル従業員)がやりたがっている。ただし、その理由はプライバシーに関する懸念ではない。ハリスの関心は、スマホ全般への依存感を弱めることにあるとアトランティック誌は伝えている。ハリスの考えは急進的で、ソフトウェアから高い中毒性を取り去るよう新しい基準や規格、果ては医師倫理綱領の宣誓まで導入してソフトウェアデザイナーを律しようとしている。この方法なら、いくらか私たちのソーシャルメディア依存を弱められる可能性もある。

というようなことが私たちには必要なのだ。ツイッターのつぶやきを止めれば済む話ではない。

(関連記事:ACLU, The Washington Post, Atlantic