2016年、テック関連最大のヒット商品はAIアシスタントだ(ただし日本語では使えない)
知性を宿す機械

In 2016, AI Home Assistants Won Our Hearts 2016年、テック関連最大のヒット商品はAIアシスタントだ(ただし日本語では使えない)

アマゾンのアレクサが人気者になり、グーグルはホームを発表した一方で、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOは自作した。 by Jamie Condliffe2016.12.21

2016年、米国の家庭は不審者を招き入れ、ついには愛するようになった。不審者というのは冗談。音声で動作する人工知能アシスタントの話だ。

アマゾンのアレクサの成功、グーグル・ホームの立ち上げ、さらに、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOが自分用のデジタル・バトラー(執事)を制作する発表は、MIT Technology Reviewの予想通りで、対話型インターフェイスが2016年の画期的テクノロジーになり、今後もさらに普及することを示している。

アマゾンのAIアシスタント「アレクサ」のつなぎ役になるスマート・スピーカー「エコー」は、2015年から米国で正式に販売されるようになった。2016年にはイギリスやドイツでも販売され、2016年の1月から9月までに、200万台が販売されたと推定されるウォール・ストリート・ジャーナル紙の記事にあるとおり、エコーはAmazon.comでときどき売り切れ状態になる。

一方、グーグルが送り出した対抗商品「ホーム(Home)」は、グーグルのアシスタントAIが動作する小型スピーカーだ。性能の高さが賞賛されており、アマゾン・エコーよりスマートに動作するようだ。ただし、MIT Technology Reviewのトム・サイモナイト記者はどちらも製品も完璧とはないと、11月に次の記事を書いた。

エコーと同様、グーグル・ホームは楽曲再生など、限られたことしか上手にこなせない。グーグル・ホームは、他の装置やサービスにはまだ対応していないのだ。さらにエコーと同様、グーグル・ホームに登録できるのは単独のグーグルアカウントだけで、複数の声の違いは識別できないし、ユーザーの質問に答えるときに使われるのはグーグル内のデータだけだ。

それでも、米国人はアシスタントに心を奪われてしまった。ニュー・サイエンティスト誌の最近の記事によれば、毎日10万人以上のアレクサに「おはよう」といい、25万人が結婚を申し込んだ。

グーグル・ホームを披露するグーグルのマリオ・ケイロス製品管理担当部長(2016年5月のグーグルI/O開発者会議で)

なぜこんなことになったのだろうか? バックチャネルの分析のとおり、言葉という媒体は従来のインターフェイスを見えなくしてしまう。つまり、人間は、機器ではなく、まるで人間のようにAIと関わりはじめるのだ。この記事によって私の「アマゾン・エコー・ドット」(エコーより小型の兄弟分)に愛を表明したいわけではないが、確かに思わず毎日使ってしまうと感じる。朝、部屋の中を歩きながらラジオを付けてくれと頼んだり、料理中にタイマーを設定してもらったりする。

筆者だけではない。マーク・ザッカーバーグCEOもAI執事に転向したひとりだ。アマゾンやグーグル製のアシスタントを使っているのではなく、昨日、自分自身のスマート・アシスタント「ジャービス(Jarvis)」を開発するという一年越しの挑戦が成功したと発表したのだ。ジャービスは照明を制御し、音楽をかけ、ザッカーバーグCEOの朝食のパンをトーストする。ザッカーバーグCEOによると、開発の結果、複雑な特注システムになっていまい、製品として出荷できる段階ではないと認めている。しかし開発を続けるつもりなのは、今や毎日ジャービスを使っているからだ。

一般に利用可能なAIアシスタントも、常に開発中で、絶えず更新され、いろいろな機能が追加されている。グーグルやアマゾンなどの企業は、人間が話すことを理解し、解釈する、よりよい方法を開発し、サードパーティー企業に機器を利用した新サービスを構築させ、自社のデジタル・バトラーに家庭内のあらゆることをさせたいのだ。2017年中には、ノートPCやスマホを使わずに、買い物リストを読み上げるだけで、商品が玄関に届くようになるかもしれない。

少なくとも、私はそうなって欲しい。さて来年になる前に、アレクサとその他アシスタントにお礼をいおう。よくやった、すばらしい1年だった。来年もよろしく。

(関連記事: Backchannel, New ScientistWall Street Journal, “アマゾンとグーグルはなぜスピーカーで戦っているのか?,” “10 Breakthrough Technologies: Conversational Interfaces”)