メキシコ:最悪な治安で、成功を夢見る起業家は成功後の不安も感じでている
ビジネス・インパクト

Life as an Entrepreneur in a Violent Mexico 治安最悪のメキシコで
起業家が感じる成功の危険性

メキシコ市場には、モバイルテクノロジーが成功する絶好の機会があるが、リスクもつきまとう。 by Adam Popescu2016.08.15

アレハンドロ・アビラは30歳のメキシコ人で、「スクエアとストライプを合わせたような」という携帯電話向け決裁サービスエスピラルを共同創業者として立ち上げ、同社は大化けする目前の段階だ。メキシコ人は1億台以上の携帯電話を持ち歩いている一方でクレジットカード使用率はたった15%しかなく、フィンテックは儲かる新市場とみなされている。

1990年代に家族でメキシコを離れ、うまくいかずに10年後に戻ったアビラCEOが警戒しているのは、成功に伴う危険だ。

エスピラルの本社があるグアダラハラは現地でメキシコのシリコンバレーと呼ばれる場所だ。スタートアップ企業が数多くあり、豊富な資金を持つインテルやHP、オラクルといった多国籍企業は米国人よりも安く優秀なエンジニアを雇っていて、メキシコにおけるテックイノベーションの発祥地になっている。

しかし、ガイドブックで案内されていないことがある。グアダラハラは本当に恐ろしいことが起きる場所でもあるのだ。3人の警察官が、白昼、富裕層の住む地域で殺されたのは2月。アビラへの取材の数日前だ。昨年には、複数のバスがグアダラハラの繁華街で火を付けられて交通が麻痺し、カルテルのリーダーは警察から逃げおおせた。5月には同じカルテルのメンバーがRPG(対戦車擲弾)で軍のヘリコプターを撃墜した。

実際、麻薬関連で起きるメキシコの暴力はアビラや他の企業家に難問を突きつけている。「メキシコにいる人はみな『自分が成功したら何が起きるんだろう』って考えていますよ」とアビラはいう。

アビラは米国のグリーンカードを持っており、頻繁にロサンゼルスに出張し、共同創業者でいとこのフランシスコ・ディアス・ミトマ(サンタモニカ在住で2012年にはフォーブス誌で30歳未満の30人のリストに載った)とジェイソン・クライン(カナダ国籍で3人目のパートナー)を訪れる。

メガネをかけ、濃いひげを蓄えたアビラは、米国で活動するパートナーと物腰も話し方もそっくりだ。英語も完璧。リバーサイド市(カリフォルニア州)に2歳で移り住み、13歳でメキシコに戻ったあと、メキシコ最高峰のモンテレイ工科大学で土木工学を学び、自身を一生オタクと呼ぶ。

しかし、 …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。