フェイスブック、専用メッセージアプリで小学生を囲い込み

Facebook Wants to Get Kids Hooked While They’re Still Young フェイスブック、専用メッセージアプリで小学生を囲い込み

フェイスブックの次世代ユーザーは、6歳という幼い年齢から、ソーシャル・ネットワーク中毒になる可能性がある。 by Martin Giles2017.12.06

フェイスブックの次世代ユーザーは、6歳という幼い年齢から、ソーシャル・ネットワーク中毒になる可能性がある。

フェイスブックが新たに発表した「メッセージャー・キッズ(Messenger Kids)」は、6歳から12歳の子どもを対象にしたアプリだ。子どもが安全にソーシャルメディアを使えるように設計されているといい、保護者がアプリをダウンロードして子どものプロフィールを作成し、通信相手の友だちや家族を選ぶことができる。

ユーザー数を増やす試みとしては、抜け目のない方だ。ティーンエージャーはすでにフェイスブックを見限り、スナップチャット(SnapChat)やキック(Kik)といった、別のアプリに乗り換えてしまっている。そこで今、ソーシャルメディアの巨人であるフェイスブックは、若いユーザーに触手を伸ばそうとしているのだ。いまのうちに次の10億人の目を囲い込んでおければ、大人になったときにフェイスブックの広告を見せることができるかもしれない、というわけだ。

フェイスブックによると、メッセンジャー・キッズは他のアプリとは一線を画すという。実生活上での子どもの友だち付き合いと同じように、デジタル上での人間関係にも保護者が関与できることを目指しているそうだ。すばらしい目標だが、それ以前に世間では子どもにソーシャルメディアを使わせること自体の是非が議論されている。

いくつかの研究によると、オンライン接続時間の長い子どもに悪影響が現れる可能性がある、との結果が出ている。その上、幼い子どもはオンラインでのやり取りに影響を受けやすく、すぐに動揺してしまう。そういった懸念に応えるため、フェイスブックは、イェール大学のエモーショナル・インテリジェンス・センター、ボストン小児病院のメディア・小児保健センター、セサミ・ワークショップといった、数々の団体から助言を得たという。

フェイスブックは、これが物議をかもす問題であるということは認識している。新アプリ発表のプレスリリースの中で、フェイスブックのアンティゴニー・デイビス公共政策部長は、「特定のテクノロジーが子どもの発達に与える影響に関しては、まだ解明されていない疑問が多々あります」と述べている。

まったく相応しくない内容に子どもが晒されるかもしれない、という危険性もある。フェイスブックは性的、暴力的な内容を見分けるアルゴリズムを開発したが、だからといって子どもに送信されるメッセージを保護者がリアルタイムでいちいち監視できるわけではない。

フェイスブックによると、子どもが13歳になった途端に通常のフェイスブックに移動させられることはないという。だが、影響を受けやすい年齢の子どもの毎日に入り込むことにより、子どもたちをすっかりやみつきにし、それなしではいられなくなることを期待しているのは明らかだ。私たち大人でさえそうなったではないか。子どもに効かないわけがない。