人間はいつの時代も変化に弱いものである——MITTRの誌面から
ビジネス・インパクト

The change chronicles 人間はいつの時代も変化に弱いものである——MITTRの誌面から

コンピューターやネットワークの急速な発達や気候変動問題など、私たちに大きく変化することを迫る要因はいくつもある。しかし、人間という生き物は変化に弱いものだ。MITテクノロジーレビューの過去の記事を読み返すと、人間が変化に弱いということはいつの時代も変わらない事実であることがわかる。 by MIT Technology Review Editors2021.08.01

「私がどのようにして心配することを止め、不合理に生きるようになったか」(1967年10月号)

どんな形であれ、変化への抵抗は本質的に自己防衛だ。変化の影響が自分の要望や欲求と矛盾すると認識すると、その個人は自分の将来を心配し、危惧するようになる。(中略)状況がそのような反応を正当化するかということは関係ない。重要なのは、不安、恐れ、怒りの原因である変化やその原因となる人物に対する否定的な態度だ。このような作用は、知性、論理、合理的思考とはほとんど関係がない。にもかかわらず、この抵抗の成り行きに身を委ねると、都合の良い理屈を付けて簡単に自分の行動を正当化できる。柵の向こう側にいる変化を招いた人々にとっては、変化に対するあらゆる抵抗が不可解で苛立たしく思われる。


「社会的・技術的変化をもたらすプログラムを実行する」(1971年2月号)

私たちが取り組んできたプログラム、例えば、貧困、犯罪、不十分な医療、みすぼらしい住居などの問題に基づくプログラムが大きな変化を起こせていないことは明らかだ。(中略)単純にに私たちの考え方が間違っていたのかもしれない。あるいは、私たちの努力が不十分だったのかもしれない。しかし、私たちにとって役に立つのは、もっと根本的な批判だろう。実情は、単に私たちが社会変革をもたらす多様なプログラムを実行できないということだ。私たちはその過程について誤った通念を抱いているが、そこに至る過程を理解していない。そして、私たちの不理解が、汚染防止、環境管理、最低保証所得、社会プログラムの行政分権化といった流行りの、良い考えに関する現在の取り組みの障害となっている。


「インターネットを旅する」(1994年7月号)

新たなメディアが、私たちの社会にどのように影響するかについては、ほとんど議論されてこなかった。これは恐ろしいことだ。なぜなら、新しい形のコミュニケーションは、歴史的に社会的構造をよくわからない方法で徹底的に変えてきたからだ。(中略)標準的なコンピューターキーボードで入力できるたった94個のASCII文字だけで、ユーザーは、パラレルワールドを構築し、その世界はときに現実の世界よりも説得力を持つことがある。これらのバーチャル世界では、アイデンティティは柔軟性を持つ。私たちのジェンダーは私たちが主張した通りのものになる。これは、(私たちが慣れ親しんでいる社会的手がかりを排除することによって)私たちが交流する方法を変えるだけでなく、アイデンティティは身体に根ざしているという概念をも破壊する。言葉から世界を集合的に作り出す能力は、想像力を広げ、テレビでは不可能な方法で私たちの知性を発揮させる。