オバマ政権がプレシジョン・メディシン推進に向け、医療データベースを構築中
生命の再定義

A Shot in the Arm for Obama’s Precision Medicine Initiative 米国が進める患者別医療
データベース構築で前進

ホワイトハウスは、巨大新データベースにより、遺伝子検査の精度が高まり、患者別医療の成功が約束されると述べた。 by Mike Orcutt2016.07.08

適確医療は巨大プロジェクトだ。薬や治療を個々の患者の症状、ライフスタイル、環境、遺伝子に合わせて調整し、医療に革命を起こすと考えられている。 しかし、7日夜、オバマ政権が2016年に5500万ドルを費やして100万人以上のボランティアから得た詳細な医療情報を含む、公共データベース「適確医療コホート」を構築していると発表したのは、最初に人間の健康とは何かを学ばなければならないからだ。もちろん、急成長中の遺伝子検査マーケットを適正に規制する方法をオバマ政権が模索していることも関係している。

米国国立衛生研究所(NIH)のフランシス・コリンズ所長は「適確医療コホート」データベースについて「従来あったこの種のプロジェクトの中で、最大かつ最も壮大な研究プロジェクトだ」と電話取材に答えた。データベースには医療記録、ゲノム配列、血液および尿検査結果、さらに健康データを収集する携帯機器やアプリから得たデータが取り込まれる。 コリンズ所長は、データベースはあらゆる人種、民族性および社会経済学的階層を代表していると強調し、今後長期にわたって患者を追跡調査する述べた。

6日には関連プロジェクトも発表されている。米国食品医薬品局(FDA)が、急成長する遺伝子検査分野を、当局が今後どのように取り締まるかを示す指導書のドラフト版を発表したのだ。FDAが懸念しているのは、新世代の遺伝子検査が患者の安全を危険にさらすことだ。遺伝子検査の根底にあるテクノロジーは高速かつ低価格にすべての遺伝子配列を解析し、数百万もの遺伝子異常を特定できる。だが、検査結果をどう解釈するかは、定まった方法がない。

2月に開催されたイベントで、プレシジョン・メディシンについて説明するオバマ大統領

多くの遺伝子検査サービスは、被検査者が特定の病気に罹患しているか、発症リスクがあるかがわかるとしている。また、患者に適切と考えられる治療方法を指定することもある。これまで遺伝子検査には当局の規制がない状態だったが、FDAは監督権限を行使し、遺伝子検査が実際にどれほど正確で臨床的に有効かを評価しようとしているのだ。

FDAのロバート・カリフ長官は、高度な遺伝子検査は「適確医療を推進し、成功を確実にする上で極めて重要だ」と述べた。しかし、カリフ長官がいう成功とは「検査によって、診断と治療方法がわかること」(つまり、今と同じだ)にすぎない。 カリフ長官は新規制がいつまとまるのかを明かさなかったが、データベースに蓄積される情報が、遺伝子検査の開発企業が直面している曖昧な規制を、いくらかは明確にするはずだ。