KADOKAWA Technology Review
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生命の再定義

遺伝子編集や遺伝子療法、新治療法や個別化医療、神経工学、合成生命について。

  1. US scientist who edited human embryos with CRISPR responds to critics
    オレゴン健康科学大学の研究者がCRISPRを用いてヒト胚の遺伝子突然変異を修正したとする昨年の報告に対し、結果の正当性や安全性に関する批判が相次いだ。実験に携わった研究者らは、「体外受精遺伝子療法」の開発を今後も続けると明言した。
  2. 中世ヨーロッパの医療に用いられていた薬物はこれまで、ほとんどがプラセボや迷信として片付けられてきた。しかし、15世紀の医学書をデータ・マイニングで分析したところ、これらのレシピは現代の医学的吟味に耐える合理性を持っていることが明らかになった。現代科学ではまだ知られていない新しい抗菌薬などが中世の文書から発見できるかもしれない。
  3. 死に至る病である「プリオン病」を発症する遺伝子突然変異を保有していると宣告を受けた女性とその夫は、自らが科学者となって自分たちの運命に立ち向かう決意をした。非常に困難な挑戦ではあるが、遺伝子シーケンシング技術やアンチセンス療法の進歩により、宣告を受けた当時に比べると、彼女たちが賭けに勝つ可能性は高まっている。
  4. 40の機関から集まった研究チームが、100万人分以上の遺伝子プロファイルを使って学歴と遺伝子の関係を表す「遺伝子スコア(得点)システム」を作成した。5段階評価で教育レベルを大まかに予測できるという。
  5. アレルギーフリーの猫の開発を進めている企業がある。遺伝子編集技術で猫の細胞内の遺伝子を修正し、アレルギーの原因となるたんぱく質を作らせないようにするのだ。原理的には可能な試みであるが、開発を進める企業の前には、いくつもの障壁が立ちはだかっている。

生命の再定義の最新ニュース

  1. A better way to measure magnetic fields could make fetal heart problems easier to detect
    体内の電気的な活動を測定することは、医師が病気などの診断を下すうえで非常に有用である。しかし、胎児の心臓の電気的な活動を十分な精度で検出できる装置はこれまでになかった。コペンハーゲン大学の研究者らは光ポンピング磁力計を改良して、常温で胎児の心磁図をとれる装置を開発した。
  2. First evidence that amino acids formed soon after the Big Bang
    宇宙のビッグバンによって大量の水素とヘリウムが生成され、星の内部の核融合反応でより重い元素が作られていったことはよく知られている。しかし、こうした元素から生命の起源となるアミノ酸のような複雑な分子がどのようにして生まれたのかについてはまだよく分かっていない。科学者たちは隕石に含まれる分子の質量分布と化学進化のシミュレーションの比較で、生命が誕生する約90億年前の初期宇宙からアミノ酸が存在していたことを示した。
  3. The citizen scientist who finds killers from her couch
    カリフォルニア州警察が過去の連続暴行・殺人事件の容疑者を逮捕して以来、DNAデータベースが未解決事件の容疑者の特定に利用できるとの期待が高まっている。独自手法によるDNAプロファイリングで警察の容疑者特定に協力している遺伝子系図研究者、シシ・ムーアの仕事に迫る。
  4. Algorithm matches human cardiologists in detecting heart attacks
    ドイツの研究者と医師が世界で初めて、心臓専門医の能力に匹敵するレベルで、心電計のデータから心臓発作の兆候を診断できるニューラル・ネットワークを開発した。今回の手法の応用範囲は広く、人々が少なくとも部分的には、機械によって診断される日が遠からずやって来ることは間違いない。
  5. Inside the effort to print lungs and breathe life into them with stem cells
    人工的な肺を3Dプリントすることで、移植用臓器の不足を解消を目指す企業がある。生体組織を3Dプリントすること自体は目新しいことではないが、肺ほどの大きさの組織を作製するにはいくつものブレークスルーが必要だ。同社は3Dプリントで作った土台に細胞を含侵させることで、生きた肺を作ろうとしている。
  6. This is how many people we’d have to send to Proxima Centauri to make sure someone actually arrives
    何世代にもわたるような恒星間航行のミッションでは、遺伝子的に健全な世代を生み出すのに十分な人数の男女を搭乗させる必要がある。太陽に最も近い恒星まで現在最速の宇宙船で航行した場合、最初に何人の乗組員がいればミッションを成功できるかをフランスの科学者らが計算した。
  7. US military wants to know what synthetic-biology weapons could look like
    米国防総省は、遺伝子工学の最近の進歩を国家やテロリストが悪用することによる国家安全保障上の脅威について調べた報告書を公開した。同報告書によると、合成生物学はリスクを確実に拡大しており、現時点では大きな脅威ではないが、対応する準備は進めるべきだという。
  8. Gene therapy is saving children’s lives—but screening to discover who needs it is lagging behind
    遺伝子療法の進歩により、遺伝性疾患を治療できる可能性が高まっている一方で、疾患を持つ子どもたちを見つけるスクリーニング検査は遅れている。検査により疾患を持つ子どもを早期発見することで、治療の効果をより高められる可能性がある。
  9. Pet cloning is bringing human cloning a little bit closer
    15年ほど前、巷を賑わせたクローン人間は、ほとんどが現実味の無い話に終わった。しかし現在、ペットなどのクローン作製はすでにビジネスとして成立している。技術的ブレークスルーにより今年1月にはクローン・サルも誕生しており、最終的にはヒトのクローンも可能だと考える科学者もいる。
  10. It’s fiction, but America just got wiped out by a man-made terror germ
    ワシントンDCで5月に、バイオテロを想定した演習訓練が実施された。現在における最も際立った特徴は、遺伝子工学の進歩により、国家主体でなくても新たなウイルスを容易に作成できるようになったことだ。演習訓練のシナリオはバッドエンドを迎えるが、現実ではそうならないように政府や政治家は対策を練る必要がある。
  11. DNA tests for IQ are coming, but it might not be smart to take one
    キングス・カレッジ・ロンドンのロバート・プロミン教授は、20万人以上のデータを使った遺伝子検査によって知能を予測する研究に取り組んでいる。将来の進学やキャリア選択に役立つという。だが、「遺伝子主義」は遺伝子選別による新たな階級社会につながるとの懸念の声も上がっている。
  12. A stealthy Harvard startup wants to reverse aging in dogs, and humans could be next
    ハーバード大学医学大学院のジョージ・チャーチ教授が共同設立したスタートアップ企業が、遺伝子療法による「若返り」の研究を進めている。マウスでの実験から始めて、次にペットの犬に対して同療法を適用して商品として確立し、最後に人間に移行する戦略だ。
  13. Does the brain store information in discrete or analog form?
    人間の脳は情報をどのように扱っているのか。ニュージーランドの研究者は80人以上に2000回以上の実験を繰り返し、確率判断に基づく人間の行動が階段状に変化することを発見した。
  14. These DNA testing companies are mainly trying to sell you other stuff
    大流行のDNA検査サービス、企業が本当に売りたいものはこれだ
    米国で消費者直販型の遺伝子検査サービスが流行している。だが、こうしたサービスは科学的根拠が薄いことに加えて、検査結果にかこつけて様々な商品を買わせようとすることが多い。サービス利用者の遺伝子データを蓄積し、研究者に売って儲けようとしているかもしれない。
  15. This AI thinks like a dog
    人工知能が学ぶ対象は人間でなければならないわけではない。ワシントン大学の研究チームは、犬の行動データを使って訓練したAIシステムを構築した。将来的には、さまざまな動物の行動を理解するために活用できそうだ。
  16. I lost a bet, and now I am going to let millions of strangers check whether we’re related
    ある殺人事件の容疑者が逮捕された決め手は、「家系図」だった。警察は犯人が現場に残したDNAを使って、家系図サービスサイトで公開されているDNAデータベースから血縁者を割り出したのだ。単に運が良かったのか? それとも必然の結果だったのか? 推測してみた。
  17. In a medical first, drugs have reversed an inherited disorder in the womb
    胎児の段階でタンパク質薬を注入することにより、汗腺を持たずに生まれてくる子供を治療する実験がドイツで成功を収めた。だが、実験の対象となった疾患は非常に希少であり、妊婦にリスクがあるため、市販される可能性はほとんどない。
  18. Researchers are keeping pig brains alive outside the body
    イェール大学の研究チームが、死んで間もないブタから取り出した脳に人工血液を循環させることで、脳細胞の活動を回復させることに成功した。蘇生させた脳は「昏睡状態」で、意識を取り戻した証拠は得られなかったが、もしも人間の脳に適用されたら、倫理上・法律上の物議を醸しそうだ。
  19. If we weren’t the first industrial civilization on Earth, would we ever know?
    人類以前に別の知的生命体が地球上に存在し、工業化社会を作り上げていたかもしれないと想像することは興味深い。2人の科学者は、人類の工業化社会が遠い将来、地球上にどのような痕跡を残し得るかを研究することで、この問いに答えようとしている。
  20. The gene therapy that cures “bubble boy disease” isn’t worth it to Glaxo
    医薬品大手のグラクソ・スミスクラインは、ストリムベリスなど新薬候補の遺伝子療法を、事実上の競合となるスタートアップに企業に売却した。希少な疾患に対して1回完結型の治療を提供する遺伝子療法は、一見すると法外に思える値段を付けても、ビジネスとして成り立たせることは困難だ。
  21. This company can encode your favorite song in DNA—for $100,000
    世界中で増え続ける膨大な量のデータを格納するのに、人工的に合成したDNAを利用する研究がなされている。DNAは非常に高密度であることに加えて、長期にわたり安定しているからだ。現在はデータあたりの価格がまだ高額だが、テクノロジーの改良が進めば、ぐっと手に入れやすい価格になる可能性がある。
  22. Before he died, this biohacker was planning a CRISPR trial in Mexico
    死亡した過激派バイオハッカー、肺がんの遺伝子療法も計画していた
    過激なパフォーマンスが物議を醸していたバイオハッカーのアーロン・トレイウィックが、肺がん向けの遺伝子療法の実施を計画していたことがわかった。トレイウィックの死亡によって計画は中止に追い込まれたものの、実際にメキシコの診療所で治療をするとして被験者を募っていた。
  23. Investigators searched a million people’s DNA to find Golden State serial killer
    カリフォルニアの連続殺人犯の逮捕に、捜査当局が商用の家系図作成サービスを利用していたことが分かり、物議を醸している。捜査員は犯行現場から採取したDNAのデータをアップロードして、犯人の親戚の一人を見つけ出した後、該当者を絞り込んで犯人を特定した。
  24. Gene therapy could free some people from a lifetime of blood transfusions
    生涯にわたる輸血から解放、地中海性貧血の遺伝子療法が治験に成功
    米バイクテク企業のブルーバード・バイオが、遺伝性の血液疾患であるベータサラセミアの患者に対して実施した治験で、遺伝子療法が劇的な成果をあげたことを発表した。今年後半以降に欧州と米国で治療の認可を申請し、治療の提供を開始する計画だ。
  25. Meet the Woman Using CRISPR to Breed All-Male “Terminator Cattle”
    遺伝子編集技術を用いて、雄の性別を決定付ける遺伝子をX染色体に挿入することで、雄の子牛しか生まれないようにした雄牛を作り出す研究が進んでいる。雄の子牛は速く成長し、餌を効率的に筋肉に変えられるので、牛肉の生産効率を高められるという考えだ。
  26. The race to invent the artificial leaf
    クリーン・エネルギーを目指す科学者たちは長年にわたり、植物が太陽光と水と二酸化炭素から炭水化物を作り出す光合成にヒントを得たプロセスを、商業的に採算の取れる方法で実現する方法を探究してきた。かつて同じ指導教官の下で学んだ2人のライバル科学者は今、それぞれ全く異なるアプローチで、まだ先は遠いものの、着実な成果を出しつつ研究を進めている。
  27. AI can spot signs of Alzheimer’s before your family does
    人工知能(AI)が、アルツハイマー病の早期発見、治療、脳画像診断、臨床試験の改善に使われ始めた。医師や家族が気づくよりも前に、センサーを使って日常行動から初期徴候を検出する研究も進んでいる。
  28. CRISPR trials are about to begin in people—but we still don’t know how well it works in monkeys
    遺伝子編集技術「クリスパー(CRISPR)」による治療が有望視されており、欧米では年内にも治験が開始される予定だ。科学者たちはクリスパー療法の効果や安全性を確認するためにサルを使用した実験を実施しているが、事例は少なく、懸念材料は残っている。
  29. MIT severs ties to company promoting fatal brain uploading
    MIT、「脳の永久保存」企業との研究契約解消へ
    MITメディアラボは、デジタルな不死を望む人々に自殺を促しかねないサービスを計画しているスタートアップ企業との研究契約を打ち切る声明を出した。
  30. A startup is pitching a mind-uploading service that is “100 percent fatal”
    まだ生きている状態の人間の脳に化学処理を施し、何百年も保管できるようにするサービスを計画しているスタートアップ企業がある。将来の科学の進歩により保存した脳から情報を復元できるようになれば、コンピューター・シミュレーションとして蘇ることができるという触れ込みだ。
  31. This stem-cell implant could halt an incredibly common cause of vision loss
    ES細胞を利用して、失明の原因となる加齢黄斑変性を治療しようとする試みが進んでいる。南カリフォルニア大学の研究者らが、培養したES細胞の薄膜を患者の眼に挿入したところ、視力が減退しないだけでなく、向上する効果も見られた。
  32. A simple artificial heart could permanently replace a failing human one
    一生使える「完全な人工心臓」、実現へ前進
    人工心臓は部品の数が増えるほど、壊れたり、感染症を起こしやすくなったりする。オレゴン健康科学大学は、弁を持たない、非常に単純化した設計の人工心臓を開発している。ウシの体内での試験を終え、小型化したバージョンをヒツジに埋め込んで3カ月にわたる試験をする計画だ。
  33. Farmland gene editors want cows without horns, pigs without tails, and business without regulations
    米国で遺伝子編集した動物の安全性規制を緩和させるためのロビー活動が活発化している。ビジネスを優先させる姿勢を明確にしているトランプ政権は、規制を変更するのにまたとないチャンスだと業界関係者らは見ているのだ。
  34. Genes of human “mutants” point to a new superpower
    大量飲酒でも脂肪肝になりにくい遺伝子突然変異が発見される
    大規模なDNA解析調査の結果、肝疾患に耐性を持つ遺伝子突然変異を有する人々の存在が明らかになった。飲酒を原因とする肝硬変に罹患する確率が通常より大幅に低く、研究が進めば脂肪肝疾患を抑制する医薬品を開発できる可能性がある。
  35. CRISPR may not cause hundreds of rogue mutations after all
    遺伝子編集技術CRISPRを適用したマウスにオフターゲット効果が多数発生したと発表して物議をかもしていた論文が取り下げられた。執筆者らは以前の実験結果を再現できなかったとしており、論文を掲載したネイチャー・メソッズは「主張を裏付けるデータが不十分だった」と述べている。
  36. Fast genome tests are diagnosing some of the sickest babies in time to save them
    遺伝性疾患は北米の乳児の死因の第1位であり、新生児の推定4%に影響を及ぼしている。レイディ小児病院は、全ゲノム・シーケンシングに要する時間を大幅に短縮することで、重病の赤ん坊の病因を迅速に特定して、適切な医療処置ができるようにしている。
  37. Why even a moth’s brain is smarter than an AI
    深層学習のニューラル・ネットワークにはいまだに、自然界の生物のニューラル・ネットワークより大きく劣っている点がいくつかある。ワシントン大学の研究者たちは、ガの嗅覚学習の仕組みを真似ることで、こうした欠点の克服を目指すニューラル・ネットワークを開発した。
  38. Forecasts of genetic fate just got a lot more accurate
    遺伝子診断は、糖尿病やアルツハイマー病といった一般的な病気の発症予測だけでなく、知能指数の予測まで可能になりつつある。
  39. Biologists would love to program cells as if they were computer chips
    MIT発のスタートアップ企業が、微生物内で医薬品や化学物質を作り出すための「遺伝子回路」を設計するソフトウェアを開発した。電子回路設計ソフトウェアをモデルにしており、数年かかった作業を数週間に短縮できるという。
  40. Gene Editing Could Rewrite the GMO Debate
    世界を救うのは遺伝子「編集」作物だ
    遺伝子組換え作物の安全性をめぐる対立は、長らく農業の進化を停滞させてきた。新たな遺伝子編集技術は、多種多様な特徴をもった作物を生み出し、農業の世界にイノベーションをもたらすだろう。
  41. The high-tech medicine of the future may be biased in favor of well-off white men
    医療の高度な個別化は生命に「格差」をもたらすのか
    高度に個別化された適確医療(Precision Medicine)は、少数派や女性たち、貧しい人々といった特定のグループに想定外の悪影響を及ぼす可能性がある。
  42. 100,000 happy moments
    幸せを科学で解き明かすことはできるのか。東大生らの研究チームは、10万件にものぼるデータを自然言語処理を使って解析し、幸せの瞬間に何が起こっているのかを解明しようとしている。公開されたデータベース「HappyDB」は、人々が幸せになる手助けになるかもしれない。
  43. Why redesigning the humble yeast could kick off the next industrial revolution
    自由自在に遺伝子を書き換えられる人工酵母の誕生は、エネルギー問題や医療問題の解決に大きく役立つかもしれない。
  44. Can’t get new lungs? Try refurbished ones instead.
    ハーバード大学のハラルド・オット医師は、動物から取り出した臓器を土台とすることで、移植用臓器の不足を解決できるかもしれないと考えている。
  45. 2017 was the year consumer DNA testing blew up
    消費者直販型の遺伝子系図検査を利用する人の数が米国で急増している。業界トップ企業がテレビCMなどに投じる広告費は年間1億ドルを超え、DNA検査は今や、一大ブームの様相を呈している。
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