米議会、脆弱性を抱える投票機の更新を所管する組織を解体へ
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How Politics Could Put the Reliability of Future Elections at Risk 米議会、脆弱性を抱える投票機の更新を所管する組織を解体へ

米国議会で、脆弱性を抱える投票機の更新等を所管する選挙支援委員会を解体する法案が委員会を通過した。2020年の大統領選挙で、ハッカーによる妨害等に対処できなくなる可能性がある。 by Mike Orcutt2017.02.23

米国議会には選挙のセキュリティ問題を解決する政治的意思がなく、2020年の大統領選では昨年秋と同様、投票機投票者のデータベースがハッカーに狙われる危険性が高い。

選挙のセキュリティと信頼性の推進派によると、共和党のリーダーが米下院に最近提出した法案のせいで、重要な投票テクノロジーの全国的な更新が2020年の選挙までに間に合わない可能性がある。

今月、下院管理委員会での採決の結果、選挙支援委員会(EAC)を解体する法案が可決された。法案の発起人であるグレッグ・ハーパー議員(ミシシッピ州)のによると、EACは「設立から時間がたって役立たず」になっており、解体により、1400万ドルの税金が節約できる見通しだという。(議会調査局によると、議会は2016年予算で960万ドルをEACに与えた

解体法案の反対派は、EACはむしろ今こそ必要だという。EACを解体すれば、先行きが不透明になり、投票機の業者や州の選挙当局が混乱し、古くなった機械の更新が遅れてしまうという。

米国の選挙用テクノロジーの状況はよくない。超党派的な大統領選挙管理委員会の警告によると、米国の投票機の大半はあと10年程度で寿命を迎える見通しだ。ニューヨーク大学ブレナン司法センターによると、2015年には43州が10年以上経過したシステムを使っていた。システムが古いほど、ソフトウェアの脆弱(ぜいじゃく)性が放置されやすい。多くの州が使っているテクノロジーでは、いまだに紙の記録を作れず、集計結果を二重チェックができない。研究者が何度も指摘しているように、少なくともいくつかの機種はハッカーからの攻撃に対して脆弱だ。

「EACはこの問題に対処する上でとても重要な役割を担っています」とブレナン司法センター・民主主義プログラム(Democracy Program)担当ディレクターのウェンディ・ワイザーとワシントン支部長のニコール・オースティン・ヒラリーは、下院管理委員会の幹部に宛てた書簡で述べている。47州が投票設備についてEACの技術基準に従っている。EACは新基準を検討しているところで、新しい安全な投票設備を州が購入できるように取り組んでいる。

米国議会は、2002年にジョージ・W・ブッシュ大統領が投票支援法(HAVA)に署名したことで、EACを設置した。アル・ゴア候補と戦った2000年の大統領選で、得票数の集計にトラブルが生じたことへの対応だった。投票支援法によって、州が時代遅れの投票システムを取り換えるために20億ドルが確保された。EACの任務は、新しい投票設備のための技術的な基準を設定することだった。

憲法では、選挙に関しては州に権限が与えられている。連邦政府にどれくらい投票テクノロジーの権限を与えるかについては意見が割れており、イデオロギーの問題も含んでいる。しかし、EACが基準を設定することの重要性は党派を超えて認めるべきだ、と選挙用テクノロジーを研究する非営利団体オープンソース選挙テクノロジー研究所(Open Source Election Technology Institute)の共同創設者グレゴリー・ミラーは主張する。選挙は国家の安全保障に関わる問題だとミラーはいう。国家規模の選挙では「投票機の性能の一貫性を確保するために、基準を統一する必要があります」

ミラーによれば、もし議会がEACを解体するつもりなら、別な手段で新基準を完成させ、業者や州ができるだけ速やかに対応できるようにする必要があるという。「もちろん、やるべき仕事をすべて奪った上で、それをゴミ箱に捨ててしまうなんてことはあり得ませんよ」