善玉菌で農作物の収穫を増やす(遺伝子組み換えでない)
持続可能エネルギー

New Way to Boost Crop Production Doesn’t Rely on GMOs or Pesticides 人類の増加に善玉菌で対応
(遺伝子組み換えでない)

食物版の「腸内善玉菌」で収穫量を増やすバイオテクノロジーは灌漑と同等の効果がある。 by Mike Orcutt2016.07.21

植物内部に生息する有益微生物(ちょうど人間の腸内にいる善玉菌)を綿の種に引き寄せる新手法により、乾燥地域の綿の収穫量を増やす。

微生物で改良された綿は、スタートアップのインディゴ農業(Indigo Agriculture)初の製品で、すでに米国南部の5つの州で約202平方kmの広大な土地に栽培されている。インディゴのデビッド・ペリーCEOによれば、新手法は、灌漑で綿畑に水を引くのと同程度に収穫量を増やせるという。インディゴは21日、新たな投資ラウンドで1億ドルを確保し、ベンチャー資金は総額1億5600万ドルになったと発表した。

多くの専門家が、世界の農業生産性の伸びは、世界全体の食料需要に追いついていくには不十分だとしている。そのため農業用地をめぐる激しい競争がある一方で、化学肥料の使用を減らせという圧力もあり、収穫率を高める新たなテクノロジーが求められている。有益微生物を農作物に加える手法は、効果的である一方、問題視されにくく、遺伝子組み替え作物に代わる選択肢になりえる。

インディゴの微生物処理を受けた綿種が栽培される綿畑

微生物を利用して種子するような処置は、新らしい農業テクノロジーの一種で「生物学的製剤」と呼ばれる。マイクロバイオーム(根の周りの土、植物の表面、または植物組織の中に生息するバクテリアや菌類の群集構造)は、植物の健康や成長を促進する。簡単にいえば、有益なバクテリアや菌類を一旦分離して培養し、植物に戻すと、成長が刺激され、農作物はより健康になる、ということだ。

モンサントなどの農業企業は、すでに数多くの微生物製品を発売しているが、販売中の製品のほとんどは土中に生息する微生物に限られる。インディゴが狙っているのは、「内部寄生菌」といわれる植物組織内に生息するバクテリアや菌類だ。研究者は、数十年にわたって微生物と宿主である植物の相互作用を研究してきたが、学んだことを実際どう応用するべきかについては、最近やっと理解し始めたばかりだとアリゾナ大学の植物科学、生態学、進化生物学者でインディゴ社の学問的協力者でもあるベッツィ・アーノルド教授はいう。

最近のDNAシーケンシングの進歩や安価なコンピューティングのおかげで、膨大な微生物の遺伝情報データーベースをコンピュータ分析することは、以前よりコストがかからず、農作物を改良するための見識を得やすくなった。インディゴは、過酷な状況でも力強く成長する農作物から分離した、何万という個別の微生物のデーターベースを築き上げた。インディゴの科学者は、機械学習やその他のテクノロジーでデータを詳しく調査し、新たな見識を得ようとしている。

インディゴの種子処置を受けて育った綿(左側)と処置されていない作物綿(右側)

インディゴの綿を現在約4平方キkmの土地で栽培しているオックスボー農業のタイラー・マクレンドン社長は、過酷な環境でも植物が育つ「特定の」微生物の分離にインディゴが狙いを付けるのは「広範囲な」土を改良する他社のやり方より理にかなっていると信じている。

マクレンドン社長はまた、インディゴのビジネスモデルはユニークだともいう。農業経営者が負担するテクノロジーの支払料金が「測定可能な作物の収穫量の増加」によって決まるのだ。従来の農業ビジネスでは、農業経営者は全額を前金で支払い、後はうまくいくように願うのみだったとペリーCEOはいう。インディゴは種をまく前に多額の支払いを求めず、その代わり「私たちは収穫で増えた金額に相応の取り分をいただくだけです」とペリーCEOはいう。マクレンドン社長は、このやり方であれば、農業経営者は新しいバイオテクノロジーを受け入れやすくなるし、テクノロジーを導入するスピードも速まるだろうという。