ロボットが苦手なことは人間がやればいい——協働が変える製造業の未来
知性を宿す機械

This company tames killer robots ロボットが苦手なことは
人間がやればいい
協働が変える製造業の未来

製造現場へのロボットの導入といえば、100%完全な自動化をイメージしがちだ。だが、ある米国のスタートアップ企業は、市販の3Dセンサーと独自のソフトウェアを用いて、人間の作業者と隣接して協働できる産業用ロボットを開発している。人間とロボットが互いの苦手な点を補完して作業を進める、新しい製造業のあり方を模索する動きだ。 by Will Knight2018.06.27

長さ2メートル強のロボット・アームが目にも留まらぬ早業で移動し、超人的なスピードで作業台から作業台へとボウリング球ほどの大きさの金属片を運んでいる。しかし、人間の作業員が金属片に手を伸ばすと、ロボットの動作は遅くなり、やがて停止する。そして、人間が離れていくや否や、ロボットは再び速度を上げて動き出す。

ロボットと若者が車のサスペンションを一緒に組み立てる光景は、産業用ロボットに詳しい人々の目には、常軌を逸したものに映るかもしれない。

産業用ロボットは制御を誤ると人を殺しかねない。通常は工場内の柵に入れられているか、誰かが60~90センチ以内に近づくと全機能を停止させるセンサー・システムにより監視されている。通常、産業用ロボットから何かを直に掴み取ろうとするなどということは、完全に気が触れてでもいない限り無理なのだ。

だが、ここで紹介するロボットは普通の産業用ロボットとは異なる。 マサチューセッツ州ウォルサムに拠点を置くスタートアップ企業、ヴェオ・ロボティクス(Veo Robotics)が開発したロボットには、巨大で粗野な産業用ロボットさえも安全な仕事仲間に変えられるテクノロジーが使用されているのだ。

ヴェオの産業用ロボットの周囲には、市販の3Dセンサーが数個、配置されている。これらのセンサーからの情報に基づいて、独自開発のソフトウェアが現場の様子を把握する。次に、動き回る人間を含む物体を識別し、それらがどこに向かっているのかを評価する。そして、評価結果に基づいてロボットを制御する。ごくわずかなエラーが大惨事に繋がる可能性がある。

同社のパトリック・ソバルヴァーロCEO(最高経営責任者)は、ドイツにあるBMWの工場を訪れた際にアイデアを得たという。自動車のダッシュボードの取り付けなどの作業の多くは、チューブとケーブルの接続作業を伴うため手作業となる。しかし、ダッシュボードは人が手際よく移動させるには重く、扱いにくい代物だ。

「そうした作業向けに、当社は器用さを必要としないロボットを開発することにしたのです。このロボットを使えば製造時間が半分になります」とソバルヴァーロ …

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