電気自動車への移行が不可避に:世界を変える10大技術 2023年版
持続可能エネルギー

The inevitable EV: 10 Breakthrough Technologies 2023 電気自動車への移行が不可避に:世界を変える10大技術 2023年版

電気自動車(EV)がようやく、自動車産業において存在感を現し始めた。各国の自動車メーカーは、政府の政策などに後押しされ、サプライチェーンを構築し、生産能力を高め、よい高性能のモデルを発表するようになっている。 by James Temple2023.03.06

電気自動車(EV)は自動車産業を大きく変えようとしている。

ここ数年、電気自動車の売り上げは緩やかな増加を見せていたが、今や急上昇している。国際エネルギー機関(IEA)によると、2022年における世界での新車販売台数に占めるゼロエミッション乗用車やトラックの割合は13%となる見込みだ。わずか2年前、この割合は4%であった。2020年代末には、新車販売台数の約30%を占めるまでになるだろう。

ニッチな選択肢であった電気自動車が、今や主流となった背景には、さまざまな要因がある。

各国政府は、自動車メーカーの設備を強制的に一新させ、消費者に乗り換えを奨励する政策を実施してきた。特に、カリフォルニア州とニューヨーク州では、2035年までに、販売するすべての新しい乗用車、トラック、SUVをゼロエミッション車両にすることが義務づけられた。欧州連合(EU)においても、同様の規則がほぼ確定している。

一方で、自動車メーカーは、サプライチェーンを構築し、生産能力を高め、価格帯や製品タイプに関わらず、より優れた性能を持つ多くのモデルを発表している。

5000ドルを少し下回る価格で購入できる小型車「宏光(ホングアン)MiniEV」は、世界一の販売台数を誇る電気自動車となり、中国が世界最大の電気自動車製造国であるという優位性を強めている。

インドの電気自動車メーカーであるヒーロー・エレクトリック(Hero Electric)やアザー(Ather)などの二輪車、三輪車のラインナップが充実したことで、同国における電気車両の販売台数は昨年比で3倍に増加した(ただし、総販売台数はまだ43万台程度にとどまっている)。米国では、シボレー・ボルト(Chevy Bolt)からフォード・F-150ライトニング(Ford F-150)まで、サイズも価格もさまざまなモデルが、より多くの米国人を電気自動車へと引き込んでいる。

まだ大きな課題はある。 多くの電気自動車はもっと安価になる必要があるし、充電方法の利便性を高める必要もある。急増する自動車用バッテリーの充電に対応するためには、クリーンエネルギーの発電量を大幅に増やさなければならない。十分な量のバッテリーを作る事業は、大規模なものとなるだろう。とは言うものの、燃費の悪いガソリン車の全盛期が終わりつつあることは明らかだ。