スマホ覗き見犯をわずか2ミリ秒で検出、グーグルが新技術

A Lightweight AI Could Stop Strangers From Spying on Your Smartphone スマホ覗き見犯をわずか2ミリ秒で検出、グーグルが新技術

グーグルのエンジニアが、見慣れない人がスマホの画面を覗き込むことを防ぐ、軽量な画像認識システムを開発した。 by Jamie Condliffe2017.11.29

グーグルのエンジニアが、見慣れない人がスマホの画面を覗き込むことを防ぐ、軽量な画像認識システムを開発した。

顔認識や視線検出そのものは、機械学習にとっては特に目新しいことではない。だが、12月初旬に開催される神経情報処理システム(NIPS)の学会では、この画像認識システムの論文が口頭発表される予定だ。開発したグーグルのエンジニアによると、一連の動作を実行するのに必要なソフトウェアの無駄を省いて軽量化することに成功し、スマホ上でも確実にリアルタイムで動作できるようになったという。このソフトウェアが視線を検出するのに必要な時間はわずか2ミリ秒で、47ミリ秒で顔を認識する。

実際にどのように使えるかを示すために、グーグルのエンジニアは簡単なツールを作成した。最初に報じたWebメディアのザ・レジスター(The Register)の記事に掲載されたのが、上の動画だ。見てのとおり、画像認識ソフトウェアをスマホの前面カメラに適用した場合のデモで、見慣れない人が画面を覗き込むと、検知アルゴリズムから収集された情報を使って、メッセージ・アプリの画面を隠す。あらかじめ自分や知人をリストに登録でき、誰かがスマホの画面を覗き込むとリストに登録されているかを確認して、登録されていなければ警告のポップ・アップ・ウインドウを表示する。このとき、メッセージ・アプリの画面は隠される。

実に巧妙な仕掛けだ。しかし実際のアプリよりも面白いのは、一連の動作がスマホ上で実行できるという事実だ。今回の研究成果は、ハードウェアの能力がそれほど高くないモバイル機器でも効率的に動作するAIの利用に拍車をかけることになりそうだ。ほとんどのスマホやスマート・スピーカーのような機器は、いまのところクラウドを経由して大規模なサーバー上でAIを実行している。しかし、処理の遅延をより少なくし、データの機密性を高めたいとの要望は多く、機械学習ソフトウェアを軽量化してシンプルなチップでも動作するようにすることが求められていた。

最近、グーグルは、モバイル機器向けに軽量なAIを開発したい非専門家へ向けて、新しいオープン・ソースの機械学習ソフトウェア・ライブラリを発表した。今後、このような軽量化したソフトウェアがますます増えると期待されている。

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