グーグルからさかのぼること45年、官製ストリートビューがあった
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The forgotten history of highway photologs グーグルからさかのぼること45年、官製ストリートビューがあった

グーグル・ストリートビューが登場する数十年前、米国では州政府のバンが道路を撮影し、豊かな歴史を視覚的に記録していた。 by Jon Keegan2023.07.14

1985年5月10日、晴天の春の日、コネティカット州ポーカタクの国道1号線を1台の改造バンが南に向かって走っていた。ダッシュボードに取り付けられた35ミリのムービー・カメラで、0.01マイル(約16メートル)ごとに、バンの進む方向の画像を撮影した。画像には、日付、ルート、走行距離、方位を示すデジタル表示も映されていた。

このような「フォトログ」プログラムは、米国のほぼすべての州の高速道路局にあった。一部は、1961年までさかのぼる。毎年、このようなバンが、州道を上下線両方向に数千マイルも走行した。各州がこのようなプログラムを実施していたのは、区域の道路、交差点、陸橋、橋に関する最新の視覚的な記録がほしかったからだ。この取り組みはまた、長い間閉まっている店、冗談のように安いガソリン価格、クラシックカー、そして道端をただ歩いている人々など、過去の美しいシーンもいくつか捉えた。

1969年に連邦道路局が試作したフォトログ用のバン。
NATIONAL COOPERATIVE HIGHWAY RESEARCH PROGRAM

それらのデータセットはインフラの計画や保守に役立つだけでなく、州道で発生した事故に関して起こされる訴訟に対し、州を弁護する上でも有用だったことが分かっている。フォトログの画像が、標識、縁石、横断歩道、その他の交通を規制する方策を示す明確な履歴記録を法廷に提供したからだ。

現在では多くの州が、このようなデータ収集用の改造バンを引退させ、作業を第三者に委託している。また、インターネット地図プロバイダーが当たり前になった現在、州の取り組みは時代遅れに見えるようになった。

だが、多くの州の高速道路局には、古い映像で溢れそうな棚がまだある。その多くは、35ミリフィルムやレーザーディスクに記録されたものだ。私はコネティカット州の高速道路局に公文書公開請求をして、かなり低い解像度でデジタル化されたアーカイブ映像にアクセスした。

映像リールに巻かれた35ミリフィルムは、ストップモーション・アナライザーで再生できる。
NATIONAL COOPERATIVE HIGHWAY RESEARCH PROGRAM
改造バンに搭載された、典型的なフォトログ用カメラと記録装置。
NATIONAL COOPERATIVE HIGHWAY RESEARCH PROGRAM

フォトログ・システムのコントロール・ユニット(左)と自動露出制御ユニット(右)。

NATIONAL COOPERATIVE HIGHWAY RESEARCH PROGRAM

何年もかけて、このようなデータ収集走行バンに側面や後方用のカメラが追加された。さらに、実際の路面の詳細な3Dスキャンや、より高解像度のカメラによって近代化が進んだ。ユタ州の運輸局は2017年から、2台の360度ライダー(LiDAR:レーザーによる画像検出・測距)センサーを搭載したバンを使い、道路、建物、崖、道路脇の電柱の写真だけでなく、被写体の実際の形状も記録し始めた。同局が開発した公開ポータルでは、この3Dデータをカラフルに視覚化して使い、州内のすべての主要ルートをバーチャルにドライブできる。ペンシルベニア州などの他の州にもWebベースのポータルサイトがあり、一般の人が最新のフォトログ・データセットを閲覧できる。

現在、ユタ州のフォトログ用バンは、2台の360度ライダー・センサーを搭載し、道路や周辺エリアの詳細な3Dスキャン画像を撮影している。

これらの数百万フレームが映ったフィルムは、私たちが過去に走った道路の小さなスナップショットであり、現在は州の記録保管所の埃っぽい棚に眠っている。 もっと多くの州がデジタル化して公開すれば、貴重な歴史が大量に失われるのを防げるかもしれない。

この記事は、ジョン・キーガンがまとめているニュースレター『ビューティフル・パブリック・データ(beautifulpublicdata.com)』に掲載されたものを再編集しました。