AI搭載ロボが5000曲から作ったオリジナル曲は意外といい
知性を宿す機械

This Marimba-Playing Robot Invents Surprisingly Nice Tunes AI搭載ロボが5000曲から作ったオリジナル曲は意外といい

AIに作曲させる取り組みが進んでいる。ベートーベンからレディー・ガガまで5000曲を基にして作られた曲は、クラシックとジャズを融合させたようなものだった。 by Jamie Condliffe2017.06.16


4本の腕に8本のスティックを持ったロボットの脳には200万以上のモチーフが入力されていて、滑らかに曲を奏でている。マリンバ演奏ロボットの「シモン(Shimon)」だ。

ジョージア工科大学大学院のメイソン・ブレタン研究助手が開発したシモン(Shimon)は数年前から、実際にマリンバを演奏してきた。だが、その時点では他のミュージシャンと一緒に既存の楽曲を合奏するだけだった。現在、ブレタン助手は、シモンのニューラル・ネットワークにベートーベンからレディー・ガガまで5000曲の楽曲と200万以上のフレーズやコード進行を取り込ませ、自分で作曲ができるように進化させようとしている。

シモンは人間が弾いた4小節分のフレーズを聴き、それに基づいて旋律を作る。ブレタンによると、シモンは一音一音を考えるのではなく、より高度に音楽の意味を理解し、曲の全体像を構想しながら作曲しているそうだ。作曲の一部は上記の動画で聴くことができる。

しかし、今のところは、シモンのニューラル・ネットワークが実際にどのようにして作曲しているのかを、正確に把握することはできない。そのため、シモンがどのアーティストの曲を参考にしているのかを知る術はない。ブレタン助手によると、できあがった曲は「ジャズとクラシックが融合されたような曲」で、ハーモニーはクラシックに近いが、半音階のコード進行はジャズでよく耳にするものだという。

作曲する人工知能は、シモンが初めてではない。グーグルは「マゼンタ」プロジェクトの一環として、 同じようにニューラル・ネットワークを使用した作曲の取り組みを行っている。そこで作曲されたピアノ曲はとても魅力的だ。しかし、このうちの数曲に関わったグーグルのダグラス・エック研究員は、こういったマシンを作る本当の楽しさは「私たちが新しいアートを生み出す手助けをしてくれることです」 という

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