グーグル・ドキュメントが ソーシャルメディア化、抗議運動でなぜ使われたか
コネクティビティ

How Google Docs became the social media of the resistance グーグル・ドキュメントが
ソーシャルメディア化
抗議運動でなぜ使われたか

ジョージ・フロイド殺害事件に抗議する活動家たちの間で、情報を共有するためのツールとしてグーグル・ドキュメントの人気が高まっている。フェイスブックやツイッターと異なり、サインイン無しで誰でもアクセスできることに加えて、匿名性を保持できるからだ。 by Tanya Basu2020.06.10

ジョージ・フロイドが殺害された翌週、米国や世界各地で何十万人もの人々が抗議行動に参加し、教育、配慮、そして正義を要求した。しかし、抗議行動を取りまとめる鍵となったツールの1つは驚くべきものだ。暗号化されておらず、ソーシャルネットワークへのサインインも必要とせず、さらには抗議行動を目的として設計されたものでさえない。グーグル・ドキュメントだったのだ。

ちょうど先週、グーグル・ドキュメントは人種差別に関する本のリストをはじめ、家族や代表者への手紙のテンプレート、寄付を受け付けている基金や団体のリストなどあらゆるものを共有する方法として使われるようになった。誰でも匿名で閲覧と編集ができる共有グーグル・ドキュメントは、新型コロナウイルスのパンデミックと暴力への抗議行動が全米を席巻する中で、草の根運動のための重要なツールとなっている。もっとも、これは初めてのことではない。実際に活動家や選挙運動家は、フェイスブックやツイッターよりも効率的でアクセスしやすい抗議ツールとして、文書作成ソフトウェアであるグーグル・ドキュメントを何年も前から使っている。

グーグル・ドキュメントは2012年10月にサービスを開始した。グーグルのメール・アカウントが当時すでに広く普及していたことに加え、複数のユーザーが同時に共同作業や編集ができることが理由でたちまち人気を博した。大手ツールのマイクロソフト・ワードにようやく真のライバルが現れたのだ。

グーグル・ドキュメントは常に、単なる文書作成以外の目的でも使用されてきた。たとえば十代の若者たちの間では、退屈な講義中にメモを交換するための方法として長い間グーグル・ドキュメントが使われてきた。最近では、パンデミックの期間中に、人々がロックダウンのストレスに対処しやすくなるようにとグーグル・ドキュメントが広く共有されている。自宅待機令が発令されると、いくつもの気晴らしリストが作成された。その内容は、ニューヨーク・タイムズ紙の活動家やリポーターの意見を集めた「ノーツ・フロム・アワー・ホームズ・トゥ・ユアーズ(Notes from Our Homes to Yours)」から、バーチャル脱出ゲーム、社会的距離を守ったコメディショー、クラウドソーシングで協同するクロスワードパズル、そしてコミュニティ内で困っている人を助けるための買い物リストまで多岐にわたる。

グーグル・ドキュメントが初めて政治的ツールとして真価を発揮したのは、デマキャンペーンが横行した2016年の選挙である。メリマック大学のコミュニケーション学助教授であるメリッサ・ジムダースはグーグル・ドキュメントを使って、『False, Misleading, Clickbaity-y, and/or satirical 'News' Sources(偽りで、誤解を招かせるような釣りタイトルの、あるいは風刺的なニュースソース)』と題した34ページの文書を作成した。

ジムダース助教授を触発したのは、学者たちが、2018年の中間選挙に向けた民主党の選挙運動のために行き当たりばったりな方法として、グーグル・ドキュメント上に作成した多数の政治的な文書だった。選挙が終わる頃には、グーグル・ドキュメントは移民禁止への抗議行動やミートゥー(#MeToo)運動の推進に使われるようにもなっていた。

そして現在、戦没者追悼記念日の週末にジョージ・フロイドが殺害されたことを受け、各地のコミュニティが団結のためにグーグル・ドキュメントを利用している。この1週間に登場したグーグル・ドキュメントのうち特に人気を集めたのは「説明責任と黒人の生命のためにできる行動についてのリソース」だ。警察の残虐行為の被害者を支援するために人々が実行できる明確なステップを示したもので、まとめているのはジョージア州立大学でジャーナリズムを専攻する28歳の大学院生、カーリサ・ジョンソンだ。

ジョン …

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