ヘイトクライムから守れ アジア系米国人がインスタで結束
コネクティビティ

Asian-Americans are using Instagram to help protect their communities ヘイトクライムから守れ アジア系米国人がインスタで結束

アジア人を対象としたヘイトクライムに対して、自衛のためのコミュニティを立ち上げる動きが米国各地で相次いでいる。活用されているのが、インスタグラムなどのSNSだ。 by Tanya Basu2021.05.04

今年2月のある日の午後のことだ。ニューヨーク・クイーンズ区にあるベーカリーで50歳のアジア系女性が並んでいると、突然、1人の男からスプーンの箱を投げつけられ、乱暴に突き飛ばされた。この女性は頭を10針縫う怪我を負った。監視カメラの映像には、多くの人が一連の暴力行為をを見ていたにもかかわらず、男が立ち去るまでの間、誰も何もしなかった様子が映っていた。

暴行事件が発生した場所からすぐ近く、フラッシング地区に住むテレサ・ティンは、「自分の母親や祖母、知人の誰か被害を受けていたかもしれないと思いました。家のすぐ近くで起きたのですから」と話す。

ここ数カ月、弱い立場にあるアジア系米国人が狙われ、その様子を捉えた映像がネット上で拡散されている。今年3月にアトランタで発生した、6人のアジア系米国人を含む8人が撃たれた銃乱射事件で、この問題は頂点に達した。

事件にショックを受けたティンは、インスタグラムの「ストーリーズ」機能に注目した。ストーリーズは、短時間で自動的に削除される動画や写真を一時的に投稿できる機能だ。ティンは、近所の活動家たちが4人1組となって、街中の騒動や暴力を警戒することを提案した。数日後には、暴力的な状況を鎮める「傍観者介入(bystander intervention)トレーニング」を受けた100人のボランティアが集まり、毎週土曜日と日曜日の3時間、目抜き通りをパトロールしてヘイトクライムに目を光らせている。

ティンは、「インスタグラムのストーリーズから始まった、街中に追加の『目』と『耳』を提供したいという私の不満を共有した結果が、今に至っています」と話す。

従来、インスタグラムにおけるアクティビズムは、連携を示すためのもの、資金調達のためのもの、の大きく2つの動きがあった。前者は、ブラック・ライブズ・マター(Black Lives Matter)運動の一環として黒塗りの画像を投稿したり、フェミニストが白黒の自撮り画像を投稿したりする動き。後者は、ベンモ(Venmo)やゴー・ファンド・ミー(GoFundMe)などの募金プラットフォームへのリンクや情報を掲示する動きだ。だが、ティンのようなアジア系米国人は、頼りにならない警察に対して不信感を抱いており、インスタグラムや他のプラットフォームを使って、自分自身やそのコミュニティをより直接的に守ろうとしている。

アトランタの銃乱射事件の後、デジタル・マーケッターのケンジ・ジョーンズは、自身のインスタグラム・アカウントを使って、ニューヨークに住む主に高齢のアジア系米国人に、トウガラシスプレーを配布するキャンペーンを実施した。ジョーンズが3日間で調達した資金はトウガラシスプレーおよそ3000缶分、1万8000ド …

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