テック企業へ転身中のウォルマート、MS提携で「打倒アマゾン」

Walmart wants us to believe it’s turning into a tech company テック企業へ転身中のウォルマート、MS提携で「打倒アマゾン」

ウォルマートの最新の業務提携と新サービスから、小売業者のウォルマートがテクノロジー中心のビジネスを展開するために進化を続けているのが分かる。 by Erin Winick2018.07.19

ウォルマートの最新の業務提携と新サービスから、小売業者のウォルマートがテクノロジー中心のビジネスを展開するために進化を続けているのが分かる。

7月中旬、マイクロソフトとウォルマートはクラウド・コンピューティングの業務提携を締結したと発表した。アマゾンの小売部門とクラウド部門における最大のライバル同士が手を結んだのだ。マイクロソフトのサティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)はウォール・ストリート・ジャーナルに、ライバルとの共闘がこの提携の「絶対的な中核です」と話している。 そして7月17日、 ウォルマートはネットフリックス(Netflix)やアマゾンのプラム・ビデオより低料金になると考えられる動画配信プラットホームの立ち上げを計画中だとWebメディアのジ・インフォメーション(The Information)は伝えている。

小売大手のウォルマートは躊躇することなく、商品流通や既存の電子商取引の改革をしている。いくつかの例を挙げよう。

—  ウォルマートはグーグルと提携し、オンライン・ショッピングの強化のために人工知能(AI)を活用している
—  2017年、 棚をスキャンするロボットがウォルマートの店舗通路の巡回を開始した。ロボットの移動距離は現在約3200キロ以上に達している
—実質現実(VR)を社員教育に使用しており、デジタル・ショッピングでの使用に向けてテストしている
—当日配達サービスのジェットブラック(Jetblack)を6月に開始。音声注文インターフェイスとの連動を計画中だ

例に挙げた取り組みがウォルマートの売上にどのように影響しているかはまだ分からない。2018年第1四半期、オンライン販売が33%増となり、電子商取引が大きく成長したものの、売上増の主たる要因は、Webサイトの再設計とオンライン食料品販売への投資だった。

ウォルマートの戦略は、少なくともアマゾンの革新的なビジネス展開に挑むための純粋な試みであり、またテクノロジーに精通し、革新的であると印象付けるための広報キャンペーンでもある。多くのテック企業がウォルマートとの提携に熱心なことで、ウォルマートの取り組みへの信頼感がずいぶんと増しているが、これ以外にテック企業が進むべき道はあったのだろうか。マイクロソフトやグーグルのような企業が米国におけるアマゾンの電子商取引支配に挑戦するなら、ウォルマートにしがみつくことがおそらく最も賢明な方策なのかもしれない。