特別寄稿:米国には1日数百万規模の検査を実施できる技術がある
生命の再定義

The US already has the technology to test millions of people a day 特別寄稿:米国には1日数百万規模の検査を実施できる技術がある

米国が経済活動を再開するには、検査を1日に数百万件以上実施する必要がある。クリスパー(CRISPR)の共同開発者の1人であるMITのフェン・チャン教授ら著名科学者は、既存技術での検査プロセスの大変革を主張する。 by Sri Kosuri2020.05.05

経済活動を安全な形で再開するには、検査体制の大幅な拡大が不可欠だということは、広く合意されている。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックの状況をしっかりと把握して封じ込めるために、米国では1日あたり数百万件の検査が必要だ。

これは難しい注文だ。米国で4月下旬の1週間に実施された検査は、1日約21万件に過ぎない。しかも、今のペースのまま検査件数が増加したのでは、1日数百万件に達するのはずいぶん先になる。

緊急に検査体制を改善すべきというのが超党派の圧倒的多数の合意であり、4月23日に成立した最新の経済対策では検査体制の整備に250億ドルが追加された。しかし、効果をもたらすほど十分な検査規模の拡大が間に合わないかもしれないとの懸念が高まっている。ラマー・アレクサンダー上院議員とロイ・ブラント上院議員は4月21日にワシントンポスト紙に発表した記事で、「政府および民間部門の専門家と話し合って、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を抑え込むのに必要な数千万件もの検査を現在のテクノロジーで実現可能だと考えている人を探し出そうとしました。残念ながら、まだ見つけ出すことができていません」と書いている。

私たちは実現可能だと考えている。科学コミュニティには現在、検査を必要とするすべての人を検査し、安全に仕事に復帰させることを可能にする技術力がある。

誤解のないように言うと、現在実施されている新型コロナウイルス感染症の検査方法を単にスケールアップするだけでは不十分だという2人の上院議員の考えは正しい。しかしながら、まったく新しいテクノロジーを発明しなくても、ほんの少しのイノベーションを起こせば米国はニーズに対応できる。DNAシーケンスと遺伝子工学、産業オートメーション、高度コンピュテーションにおける目覚ましい進歩をはじめとする生物学分野での過去10年間のイノベーションの成果を活用することで必要な検査規模を達成できる。

これは経験に基づいた意見だ。私たちは学界や業界全体でこうしたテクノロジーの多くを活用し、生み出すのを支援してきた。テクノロジーをスケールアップして広く検査を実施するためには、投資、インフラ、および決意が必要になるが、技術的または物流的に実行不可能な点は一切ない。

大規模スクリーニング検査には、現在、臨床検査室で実施されている米国食品医薬品局(FDA)が認証した検査とは異なる要件と特性があるかもしれない。解決策がどのようなものになるのかを説明しよう。

検 …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。