KADOKAWA Technology Review
×
IU35 2025受賞者が集結するSummitを12/17開催!来場申込受付中。
ゲノム解析テクノロジーが解き明かす、洞窟壁画の謎
Hugo Soria | Wikipedia
ニュース Insider Online限定
We should gene-sequence cave paintings to find out more about who made them

ゲノム解析テクノロジーが解き明かす、洞窟壁画の謎

先史時代の洞窟壁画は多くの謎に包まれている。スペインのバレンシア大学の研究チームは、塩基配列解析の手法を用いることで、壁画がいかに描かれ、保たれてきたのかについて解明する手がかりを得ることができた。 by Emerging Technology from the arXiv2019.03.19

南ヨーロッパ、とりわけスペイン東部にある洞窟壁画は、アートの世界における大きな謎となっている。この岩壁画は、人間社会が狩猟採集社会から農耕社会へと移行した5000年前から8000年前に描かれたと考えられている。

数多くの研究がされてきたものの、いまだにこれらの絵画の起源は謎に包まれている。壁画を描いた人たちは塗料や結合剤に何を用いたのか、これほど長い年月にわたり色が保たれてきたのはなぜか、そして最も議論の的になる、これらの壁画が描かれたのは一体いつなのか、といった疑問に対する確かな答えを持つ人はいない。とりわけ考古学者が心から知りたいと思うのは、壁画が、農耕社会に移行する前の中石器時代のものなのか、それとも農耕社会への移行がすでに始まっていた新石器時代のものなのか、という点だ。

スペインのバレンシア大学のクロドアウド・ロルダン研究員と同僚らによるスペイン東部のレバントの岩壁画の研究が、こうした疑問に対するユニークな洞察を提供している。同研究チームは、岩壁画上で繁殖するバクテリア群と、壁画を構成する色素および結合剤のゲノム解析を初めて実施した。この研究は、これらの壁画がいかに描かれ、保たれてきたのかについての謎を解明する重要な手がかりを与えている。

スペイン東部には、レバント美術と総称される先史時代の岩壁画のある700以上の遺跡がある。当時の最も高度な絵画と考えられているレバントの岩壁画には、通常小さな人間の姿や動物が描かれて …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. Quantum physicists have shrunk and “de-censored” DeepSeek R1 量子技術でDeepSeekを55%小型化、「検閲解除」にも成功
  2. Promotion Innovators Under 35 Japan Summit 2025 2025年のイノベーターが集結「IU35 Summit」参加者募集
  3. Google’s new Gemini 3 “vibe-codes” responses and comes with its own agent グーグルが「Gemini 3」発表、質問に応じて回答形式もAIが判断
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
気候テック企業10 2025

MITテクノロジーレビューは毎年、気候テック分野で注目すべき企業を選出し、その一覧を発表している。 新たなクリーン・エネルギー源の創出や、食品生産・物流の再構築といった形で経済の主要セクターの脱炭素化に取り組む注目企業10社を紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る