実現に向けて開発進むPCI Expressの光コンピューター
従来の半導体の性能は、もはやムーアの法則どおりには向上しない。一部の分野では、光コンピューターが性能向上の切り札になると考えるスタートアップ企業がある。 by Tom Simonite2016.11.07
個人のゲノムのシークエンシング(塩基配列決定)費用が安くなり、遺伝情報の解析がより高速、安価にできる、高い計算能力のコンピューターが求められている。英国のスタートアップ企業オプタルシス(Optalysys)の創業者ニコラス・ニューCEOは、レーザー光線でデータを解析する同社製プロセッサーで、需要の一部を満たそうとしている。
ニューCEOによると、オプタルシスはデータを処理する独自の手法で、ゲノム科学や気象シミュレーションといった、アプリケーションで計算量がもっとも多い処理を引き受け、従来のコンピューターの性能を劇的に向上できるという。「単調でつまらない仕事は、光学的に処理できます」とニューCEOはいう。
研究者は電子工学ではなく光学を利用してデータを処理するアイデアに長く取り組んできたが、産業界からの引き合いはほぼなかった。しかし、インテルのようなメーカーが、従来の半導体の性能をかつてのペースでは向上できないと認めたことで(“Moore’s Law Is Dead. Now What?”参照)、光コンピューターの出番になった、とニューCEOはいう。
オプタルシスのテクノロジーは、たとえば遺伝子配列のようなデータをレーザー光線に符号化することで、フーリエ変換という数学関数を実行する。データは互いの光線の干渉によって光波を作り、光物性を利用して演算処理し、結果を符号化してパターンを生成する。パターンはカメラセンサーによって読み取られ、従来のコンピューターの電子回 …
- 人気の記事ランキング
-
- Inside the tedious effort to tally AI’s energy appetite 動画生成は別次元、思ったより深刻だったAIの電力問題
- Promotion Call for entries for Innovators Under 35 Japan 2025 「Innovators Under 35 Japan」2025年度候補者募集のお知らせ
- What’s next for AI and math 数学オリンピックで「人間超え」のAIは数学者になれるか?
- IBM aims to build the world’s first large-scale, error-corrected quantum computer by 2028 IBM、世界初の大規模誤り訂正量子コンピューター 28年実現へ
- What is vibe coding, exactly? バイブコーディングとは何か? AIに「委ねる」プログラミング新手法