クリーン政策徹底廃止のトランプ政権、現実的な対抗アプローチは?
トランプ政権は、前政権が定めたクリーン・エネルギー奨励策をことごとく廃止してしまった。クリーン・エネルギー推進者は、気候変動ではなく、より安価なエネルギー料金を前面に出すことで、党派を超えて州政府の支持を取り付けられる可能性がある。 by Joshua A. Basseches2025.08.21
- この記事の3つのポイント
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- トランプ政権がバイデンのクリーン・エネルギー奨励策を廃止した
- 筆者は気候政策の焦点を連邦から州政府に戻すべきと主張する
- 共和党支持の州でも経済発展の観点からクリーン・エネルギー推進が可能である
第2次トランプ政権は、多くの人が懸念していた以上に、気候とクリーン・エネルギー経済にとって破滅的なものであることが証明されつつある。
ドナルド・トランプ大統領の「大きくて美しい法案(One Big Beautiful Bill Act)」は、ジョー・バイデン前大統領のインフレ抑制法(Inflation Reduction Act)におけるクリーン・エネルギー奨励策のほとんどを廃止してしまった。一方、現政権の環境保護庁(EPA)長官は、温室効果ガスを連邦政府が監視するための法的根拠である危険性認定の撤回に動いた。この分野の政策動向を注意深く追ってきた私たちのような者たちにとって、気候を救い、未来のクリーン・エネルギー経済を構築しようとするこれまでの努力に、ほぼ毎日、新たな打撃がもたらされている。
こうした状況が、気候やクリーン・エネルギーのコミュニティにおいて、多くの人々を悩ませている。私たちは今、何をすべきだろうか? 私が主張する答えは、州政府に戻ることである。つまり、気候と再生可能エネルギーの擁護者たちがすでによく知っている政策立案の現場に戻るのだ。これは、50州すべてではなく少数の重要な州に焦点を絞り、戦略的に実行できる。
しかし、もう1つアドバイスがある。どの州をターゲットにするか検討するときに、「赤い州(共和党優位の州)」対「青い州(民主党優位の州)」の構図にとらわれすぎてはいけないということだ。米国政治は私たちの目の前で作り直されており、長年にわたる政策問題は再定義され、再構成されている。
たとえば、クリーン・エネルギーのことを考えてみよう。確かに、炭素を大量に排出する資源からの転換は、気候変動を遅らせることが目的である。一部の人々にとっては、それこれが、エネルギー転換を追求する最も重要な動機となっている。しかし、それよりもはるかに多くの目的もあり得る。
電気代が高騰しているこの時期、クリーン・エネルギーへの転換がエネルギー価格の手頃感を前進させるという主張は、気候変動の抑制と同じくらい力強く、そしておそらくより効果的に訴えかけることができる。また、独占的な電力会社による送電網の所有と支配に抵抗することで、エネル …
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