グーグルもメタも失敗した
「成層圏ネット」再挑戦、
2026年に日本で実証実験
推定22億人がインターネットに接続できず、主に遠隔地に住む人々が恩恵を受けられていない。この問題に成層圏の無人飛行機や飛行船を使って挑む企業が複数現れている。グーグルやフェイスブックが過去に失敗しているが、2026年の日本での実証実験がこの技術の信頼性を問い直す試金石となりそうだ。 by Tereza Pultarova2026.02.02
- この記事の3つのポイント
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- 複数企業が2026年に日本・インドネシアでHAPS技術による成層圏インターネット接続の商用前試験を実施予定
- 現在22億人がインターネット未接続で既存の衛星通信は途上国には高額すぎる状況が背景にある
- HAPS市場は2033年まで19億ドル予測と控えめで衛星通信との競争で成否が問われる
現在、推定22億人 が依然としてインターネットへのアクセスが限定的であるか、まったくアクセスできない状況にある。これは主に、そうした人々が遠隔地に住んでいるためである。しかし、成層圏飛行船や無人航空機といった高高度プラットフォームによるインターネット接続試験のおかげで、この数字は今年減少する可能性がある。
軌道上で約1万基のスターリンク(Starlink)衛星と650基のワンウェブ(OneWeb)衛星群が運用されているにもかかわらず、地球の広大な地域で確実なインターネット接続が保証されていない。
接続格差を埋める最も注目すべき取り組みの1つが、グーグルX(Google X)のルーン(Loon)プロジェクトだった。2011年に開始されたこのプロジェクトは、地球上の所定の地点上空に配置された高高度気球を使用してインターネット接続を提供することを目的としていた。しかし、このプロジェクトは文字どおりの逆風に直面した。ルーン気球は漂流し続け、新しい気球を絶えず放出する必要があったため、事業として経済的に実現不可能となった。
グーグルは人々から注目されたルーン・プロジェクトを2021年に終了した。だが、他の種類の高高度プラットフォーム基地局(HAPS)の開発は舞台裏で続けてきた。現在、いくつかの企業が異なる設計、特に操縦可能な飛行船と固定翼UAV(無人航空機)によってルーン気球の問題を解決したと主張しており、2026年に日本とインドネシア上空で試験飛行を実施し、HAPSによるインターネット接続の能力を実証する準備を進めている。
規制当局もHAPSについて真剣に検討しているようだ。例えば2025年12月中旬、米国連邦航空局(FAA)は大量のHAPSを米国の空域に統合する方法を概説した50ページの文書を発表した。米国国勢調査局の2024年米国コミュニティ調査(ACS)データによると、米国では約800万世帯(人口の4.5%)が依然として完全にオフラインで生活しており、HAPS推進派はこの技術が他の手段よりも安価にインターネット接続を提供できる可能性があると考えている。
しかし、関係企業の楽観論にもかかわらず、一部のアナリストは慎重な姿勢を保っている。
「HAPS市場の発展はこれまでずっと本当に遅くて、困難なものでした」。コンサルタント企業アナリシス・メイソン(Analysis Mason)の宇宙産業アナリストであるダラス・カサボスキはこう話す。カサボスキによれば、このアプローチは過去にも苦戦してきたという。「少数の企業が非常に関心を持ち、非常に野心的でしたが、結局は実現しませんでした」。
空からネット接続を届ける
地球上には、都市部からあまりにも離れており、人口密度が低すぎるため、光ファイバー・ケーブルの敷設や地上ベースの携帯電話基地局の建設コストに見合わない地域がある。高度20キロメートル以上の希薄な大気中に浮遊するHAPSは、こうした地域のスマートフォン・ユーザーに、低遅延で高速のインターネット接続を直接提供できるユニークかつ有利なポジションにある。
「移動体通信事業者は幅広い通信エリアをカバーする義務がありますが、こうした遠隔地をカバーするよりも罰金を支払うことを好むことが多いのです」と話すのは、欧州の航空宇宙メーカーであるエアバス(Airbus)のスピンオフ企業、アールト・ハップス(Aalto HAPS)のピエール・アントワーヌ・オーブールCTO(最高技術責任者)だ。「HAPSにより、私たちはこの遠隔接続のケースを収益性のあるものにします」。
アールト・ハップスは翼幅25メートルの太陽光発電UAVを建造し、近年多くの長時間試験飛行を実施してきた。2025年4月、ゼファー(Zephyr)と呼ばれるこの機体は67日連続で浮遊し続け、HAPSの記録を更新した。オーブールCTOによると、2026年の最初の数カ月は同社にとって忙しくなるという。ゼファーは日本南部上空で試験運用を実施し、日本で最も小さく最も接続状況の悪い有人島の住民へインターネット接続を提供する予定だ。
日本の独特な地理的条件は、HAPSの完璧なテストベッドとなる。日本の約430の有人島の多くは遠隔地で山がちであり、人口密度が低いため、地上の携帯電話基地局で接続するにはコストがかかりすぎる。アールト・ハップスは日本最大の移動体通信事業者であるNTTドコモおよび通信衛星事業者のスペース・コンパス(Space Compass)と提携 …
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