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アフリカ初のバッテリー工場も建設中、「次のEV市場」は立ち上がるか?
Michael Tewelde/Xinhua/Alamy Live News
Why EVs are gaining ground in Africa

アフリカ初のバッテリー工場も建設中、「次のEV市場」は立ち上がるか?

エチオピアが世界初のガソリン車輸入禁止に踏み切り、ルワンダは首都で商用バイクの電動化を義務付けた。研究では2040年までにアフリカでEVの所有コストがガソリン車を下回るとの予測もある。ただ、送電網や充電インフラの整備は依然として多くの国で進んでいない。「次のEV市場」は立ち上がるのか。 by Casey Crownhart2026.02.17

この記事の3つのポイント
  1. ネイチャー・エナジー誌の研究により、アフリカでEVが2040年までにガソリン車より安価になる可能性が判明
  2. エチオピアが世界初の非電気式自家用車輸入禁止を実施し、アフリカ最大の水力発電ダムで電力供給を強化
  3. 中国企業がアフリカ初のバッテリー工場建設やEV事業拡大を進め、現地製造基盤の構築が本格化
summarized by Claude 3

電気自動車(EV)の価格は年々安くなり、世界中で普及が進んでいる。しかし、アフリカの多くの国を含む一部の市場ではまだ大きな課題に直面している。

大陸全体の一部地域では、依然として送電網や充電インフラが不十分であり、広範に電力アクセスが整っている地域であっても、電力の信頼性に課題を抱える場合がある。これは、充電して移動するために安定した電力供給を必要とするEV所有者にとって問題だ。

しかし、進展の兆しもある。私は、経済的観点からの論拠についての記事を書き上げたばかりである。ネイチャー・エナジー(Nature Energy)誌に掲載された最近の研究によれば、スクーターからミニバスに至るまでのEVは、2040年までにアフリカにおいてガソリン車よりも所有コストが低くなる可能性があるという。

アフリカのEVについて知っておくべき重要な点が1つあるとすれば、大陸の54カ国それぞれが大きく異なるニーズ、課題、状況に直面しているということである。同時に、政策整備の進展、送電網の拡大、現地製造の拡充など、近い将来のEVの見通しについて楽観的になれる幅広い要因も存在する。

世界をリードするEV市場でさえ、エチオピアの積極的なEV推進政策には及ばない。2024年、同国は世界で初めて、非電気式の自家用車の輸入を禁止した国となった。

その論拠は主として経済的なものである。同国ではガソリン価格が高く、2025年9月にはアフリカ最大の水力発電ダムを稼働させ、安価で豊富なクリーン電力の新たな供給源を確保した。総事業費約50億ドルのこのプロジェクトは、5ギガワットの発電容量を有し、同国の送電網におけるピーク電力を倍増させた。

エチオピアの自動車市場の多くは中古車が占めており、一部のドライバーはいまだに旧式のガソリン車を選択している。しかし、この後押しは同国におけるEV市場の拡大を促進する可能性がある。

他のアフリカ諸国でも、一部のドライバーを電動化へと誘導する動きが見られる。ルワンダは昨年、首都キガリにおいて商用ガソリンバイクの新規登録を禁止し、代替手段としてEVを推奨した。これらのバイクタクシーは市内を走行する車両の半数以上を占める場合もあるため、この措置は同地の交通にとって大きな転換点である。

小型の二輪車および三輪車は、世界的に見てEV普及の明るい分野だ。2025年には、これらの車両の新車販売の約45%をEVが占めた(乗用車およびトラックでは約25%であった)。

そして、アフリカの現地市場は本格的に立ち上がり始めている。エネルギーコンサルタント会社であるブルームバーグNEF(BloombergNEF)のアフリカエネルギー転換主任アナリストのネルソン・ンシテムによれば、モロッコ、ケニア、ルワンダなどの国々ではすでに電動二輪車の現地組立が行なわれているという。

ドバイに拠点を置く電動バイク企業スピロ(Spiro)は最近、アフリカでの事業拡大を目的として1億ドルの資金を調達した。同社は現在、ウガンダ、ケニア、ナイジェリア、ルワンダで車両を組み立てており、10月時点で6万台超のバイクを配備し、1500カ所のバッテリー交換ステーションを運営している。

大型EVおよびバッテリーの組立・製造も拡大する見通しである。中国のバッテリー企業ゴーション・ハイテック(Gotion High-Tech)は現在、アフリカ初となるバッテリー・ギガファクトリーを建設中である。総投資額56億ドルのこのプロジェクトは、2026年から年間20ギガワット時のバッテリーを生産できる可能性がある(これは年間数十万台分のEVに相当する)。

中国のEV企業は、過飽和状態にある国内市場を超えて事業拡大を図る中で、東南アジアやアフリカといった成長市場に注目している。世界最大のEVメーカーであるBYDは南アフリカ全土で積極的に事業を拡大しており、今年末までに同国で最大70店舗を展開する計画である。これにより、アフリカで電気自動車の購入を検討する消費者に、より多くの選択肢が提供されることになる。

エネルギー系シンクタンクであるロッキーマウンテン研究所(Rocky Mountain Institute)のカーボンフリー交通プログラムのマネージャー、ケリー・カーリンは、「中国の規模の経済の恩恵を受けた、非常に高品質で非常に手頃な価格の車両が市場に投入されています。これらの国々はその恩恵を享受できる立場にあります」と述べる。「これはゲームチェンジャーです」とも語った。

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MITテクノロジーレビューの気候変動担当記者として、再生可能エネルギー、輸送、テクノロジーによる気候変動対策について取材している。科学・環境ジャーナリストとして、ポピュラーサイエンスやアトラス・オブスキュラなどでも執筆。材料科学の研究者からジャーナリストに転身した。
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