KADOKAWA Technology Review
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ディープシーク騒動から1年
中国のオープンモデルが
世界の開発者を席巻している
Anthony Kwan/Getty
人工知能(AI) Insider Online限定
What’s next for Chinese open-source AI

ディープシーク騒動から1年
中国のオープンモデルが
世界の開発者を席巻している

ディープシーク(DeepSeek)のR1発表から1年、中国企業はトップクラスの性能を持つAIモデルをオープンウェイトで次々と公開してきた。ダウンロード数では米国モデルを逆転し、シリコンバレーのスタートアップでも中国製オープンモデルの採用が進む。この勢いは続くのか? by Caiwei Chen2026.02.18

この記事の3つのポイント
  1. 中国のムーンショットAIが「Kimi K2.5」を発表し、Claude Opusに匹敵する性能を7分の1のコストで提供
  2. ディープシークのR1発表以降、中国企業はオープンソース戦略で格差を縮め、グローバル標準確立を目指す
  3. 中国モデルがシリコンバレーでも採用拡大し、AI構築の基盤インフラとして競争激化が予想される
summarized by Claude 3

過去1年間は、中国の人工知能(AI)にとって転換点となった。ディープシーク(DeepSeek)が2025年1月に推論モデル「R1」を発表して以来、中国企業は西側の主要モデルに匹敵する性能を持つAIモデルを、はるかに低コストで相次いで提供してきた。

1月27日、中国企業ムーンショットAI(Moonshot AI)が最新のオープンウェイト・モデル「Kimi K2.5(キミK2.5)」を発表した。このモデルは初期ベンチマークにおいて、アンソロピック(Anthropic)の「Claude Opus(クロード・オーパス)」などのトップクラスのプロプライエタリ(独占的)システムに迫る性能を示した。さらに、API経由で利用する際のトークン単価は、Opusの約7分の1と大幅に低い。

ハギングフェイス(Hugging Face)では、アリババ(Alibaba)のQwen(クウェン)ファミリーが2025年と2026年に最もダウンロードされたモデルシリーズとなり、その後、累積ダウンロード数でメタ(Meta)のLlama(ラマ)モデルを上回った。さらに最近のマサチューセッツ工科大学(MIT)の研究では、中国のオープンソース・モデルが総ダウンロード数で米国のモデルを上回ったことが明らかになった。世界中の開発者にとって、最先端に近いAI機能へのアクセスがこれほど広範かつ手頃な価格で提供されたことはかつてない。

これらのモデルには決定的な違いがある。ChatGPT(チャットGPT)やClaudeのような米国の多くのモデルは、有料でアクセスする仕組みであり、内部を検証することはできない。一方、中国企業はモデルの重み(学習時に設定される数値パラメーター)を公開しているため、誰でもダウンロードし、実行し、研究し、改変できる。

これらのオープンソースAIモデルが改良を続ければ、最先端AI機能へのアクセスを求める人々にとって最も安価な選択肢となるだけでなく、イノベーションが生まれる場所や標準を定める主体そのものを変える可能性がある。

次に何が起こるかを見てみよう。

中国のオープンソースへのコミットメントは継続する

ディープシークがR1を発表した際、当初の衝撃はその出自に集中した。突如として、中国のチームが米国の研究機関の最高水準のシステムと肩を並べる推論モデルを打ち出したからである。しかし、ディープシークの影響の本質は国籍よりも配布方法にあった。R1は寛容なMITライセンス(日本版注:商用利用や改変、再配布を広く認めるオープンソース・ライセンス)の下でオープンウェイト・モデルとして公開され、誰でもダウンロード、検証、展開が可能だった。さらに、同社は訓練プロセスと技術を詳述した論文も公開した。API経由でモデルを利用する開発者にとっても、ディープシークは価格面で競合を下回り、当時の主要なプロプライエタリ推論モデルであったオープンAI(OpenAI)の「o1」に比べて数分の一のコストで利用できた。

リリースから数日以内に、ディープシークのスマホ版アプリは米国のApp Storeにおける無料アプリのダウンロード数でChatGPTを抜き、首位に立った。この出来事は開発者コミュニティを超えて金融市場にも波及し、米国のテクノロジー株に急落を引き起こし、一時的に約1兆ドルの時価総額が消失した。ほぼ一夜にして、定量ヘッジファンドの支援を受けた無名のスピンオフチームだったディープシークは、中国のオープンソースAI推進の最も象徴的な存在となった。

中国企業がオープンソースに注力するという決断は驚くべきものではない。中国は米国に次いで世界第2位のAI人材の集積地であり、さらに大規模で資源豊富なテクノロジー産業を有している。ChatGPTが主流市場に浸透した後、中国のAI業界は自己省察を経て、追いつく決意を固めた。開発者を結集し、普及を拡大し、標準を確立することで格差を縮める最速の方法として、オープンソース戦略が選ばれたのである。

ディープシークの成功は、長らく世界標準に従う側だった業界に自信を与えた。「30年前、中国人で自分たちがグローバル・イノベーションの中心に立てると信じる人はいませんでした」。AIエージェント企業アトムズ(Atoms)のCEO兼創業者で、中国のオープンソース・エコシステムの著名な貢献者であるアレックス・チェンリン・ウーは語る。「ディープシークは、確かな技術力、支援的な環境、適切な組織 …

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