フラッシュ2023年4月24日
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京大などの国際共同研究チーム、ウイルスの新たな「門」を発見
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]京都大学の研究チームは、フランスの原子力庁、国立科学研究センター、パスツール研究所などとの国際共同研究により、「門」レベルの新たなウイルス分類群を発見した。ウイルスの分類には主要な階級が8階級あり、門は上位から3番目にあたる。
ヒトの病原体、あるいは微生物の寄生体として知られている二本鎖DNAウイルスの多くは、「デュプロドナウイルス」域と「バリドナウイルス」域の2つの分類群に分けられ(「域」はウイルスの分類における最上位階層)、それぞれの起源は全生物の共通祖先の時代まで遡ると考えられている。
研究チームは今回、「タラ(Tara)海洋探査(Tara Oceans Expedition)」から得られた大規模海洋メタゲノムデータから、海洋ウイルスのゲノムを再構築。巨大ウイルスの特徴を示す、新たなウイルス群のゲノムを111個構築することに成功した。このウイルス群は、デュプロドナウイルス域とバリドナウイルス域の両グループの特徴を示すキメラ状のゲノムを有しており、デュプロドナウイルス域に属し新たな「門」を構成するウイルス群として「ミルスウイルス」と名付けられた。
研究チームによると、ミルスウイルスのウイルス粒子構造に関わる遺伝子は、ヘルペスウイルスを含むデュプロドナウイルス域に特徴的で、遺伝情報の発現に関わる遺伝子は、バリドナウイルス域に属する巨大ウイルスの特徴を示している。同チームはさらに、ミルスウイルスは微細藻類などのプランクトンを推定宿主とする海洋ウイルスの主要なグループであることも明らかにした。
今回の研究により、プランクトンを宿主とするミルスウイルスの祖先からヘルペスウイルスが進化してきたこと、二本鎖DNAウイルスの初期進化においてウイルス間遺伝子水平伝播が重要な役割を果たしたこと、の2つの可能性が示唆されるという。研究論文は、ネイチャー(Nature)に2023年4月19日付けでオンライン掲載された。
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