フラッシュ2023年5月18日
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木造人工衛星を2024年に打ち上げへ、曝露実験を完了=京大など
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]京都大学と住友林業の共同研究チームは、木材を10カ月間にわたって宇宙空間で曝露する実験を完了。1次検査を実施した結果、温度変化が大きく強力な宇宙線が飛び交う極限の宇宙環境下で、試験体である木材に割れ、反り、剥がれ、表面磨耗などはなく、劣化が極めて軽微で材質が安定していることを確認した。この結果を踏まえて、世界初の木造人工衛星「リグノサット(LignoSat)1号機」を2024年に打ち上げ、運用を開始する予定だ。
研究チームは2022年3月に国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」の船外曝露プラットフォームで「木材の宇宙曝露実験」を開始。2022年12月に294日間の宇宙曝露実験を終え、12月23日に若田光一宇宙飛行士の手により試験体回収を完了した。2023年3月には、米航空宇宙局(NASA)、宇宙航空研究開発機構(JAXA)を経て木材試験体を受理。目視とマイクロスコープによる外観測定、質量などを測定する1次検査により、木材の耐久性を確認した。
研究チームによると、木材試験体として採用したヤマザクラ、ホオノキ、ダケカンバの3樹種間に宇宙空間における劣化の差は確認されなかったことから、地上で実施した各種試験の結果(加工性の高さ、寸法安定性、強度など)を踏まえ、LignoSat1号機にはホオノキを使用することに決定したという。今後、木造人工衛星の打ち上げに向けて最終的な調整を進めるとともに、元素分析、結晶構造解析や強度試験などにより、微細構造への影響などを分析する。
(中條)
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