フラッシュ2023年6月12日
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人工知能(AI)
内視鏡画像から早期胃がんの範囲を高精度で予測するAIモデル
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]理化学研究所(理研)と国立がん研究センターの研究グループは、内視鏡画像から早期胃がんの範囲を高い精度で予測する人工知能(AI)モデルを開発した。早期胃がんは形態変化に乏しく、胃炎などの炎症との区別が難しいため、消化器内視鏡の専門医でも発見が難しい。そのため、診断支援AIの開発に必要な学習用データの作成には時間がかかる。
研究グループは先行研究で、少量のデータから病変の特徴を効率よく学習できるAIモデルを開発し、早期胃がんのおおよその範囲を自動的に検出することに成功している。だが、早期胃がんの内視鏡的切除術では、切除範囲を正確に同定する必要があり、おおよその範囲を同定するだけでは不十分だった。
今回の研究では、画像1画素単位で病変が存在する確率を予測するAIモデルを開発した。先行研究で開発した、少量のデータで効率よく学習できる技術を流用し、消化器内視鏡の専門医が病変の範囲を正確に注釈付けしたがん画像150枚と、がんを含まない正常画像150枚の計300枚を、拡大縮小や反転、回転、色変換などを加工を施すことで、およそ113万枚に増やして畳み込みニューラルネットワークに学習させた。
学習済みのモデルは、新しい入力画像をおよそ1600のブロックに分割し、それぞれのブロックごとに病変の存在確率を予測する。研究グループはブロックの中心に近い画素には大きな重みを、遠い画素には小さな重みをあらかじめ設定しておき、ブロックごとの予測結果をブロックの画像に重ね合わせるときに予測結果を画素ごとの重みと掛け合わせることで、1画素単位の予測結果を得る仕組みを構築した。
開発したAIモデルで、学習用データとは別に用意した137症例(がん画像462枚と正常画像396枚)の画像で評価したところ、130の症例で病変の有無を正確に判定し、陽性的中率は81.3%、陰性的中率は80.4%となった。
研究成果は5月31日、ジャーナル・オブ・ガストロエンテロロジー(Journal of Gastroenterology)誌にオンライン掲載された。
(笹田)
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