中国政府、新型コロナ感染者との「濃厚接触」判定アプリ
中国政府は、新型コロナウイルスに感染するリスク・レベルを確認できる「濃厚接触検出器(Close Contact Detector)」アプリの配布を開始した。 アプリは、ウイルスの感染が確認、または疑いがある人物の近くにいたかどうかをユーザーに通知する。国営の新華社通信によると、アプリは政府機関と国営の中国電子科技集団によって開発され、保健衛生と運輸当局によって収集されたデータを使用しているという。現在、コロナウイルスは中国中部の武漢から国内のほぼすべての省および、世界中に広がっている。これまでに4万人以上が感染し1000人以上が死亡しているが、そのほとんどが中国国内だ。
濃厚接触検出器アプリを利用するには、ウィチャット(WeChat)、アリペイ(Alipay)、QQなどの人気アプリを通じてスマートフォンでQRコードをスキャンし、利用登録をする。登録には電話番号を使用し、名前と国民ID番号の入力が必要。ID番号を入力すると、最大3人までの状態を確認できる。コロナウイルスに感染した人と濃厚接触していることが判明した場合は、自宅に留まり、地元の保健当局に連絡するように勧められる。
中国政府の「濃厚接触者」の定義では、同居する人、一緒に働く人、同じ教室にいる人、医療スタッフ、家族、介護者などが含まれ、幅広い人々が対象だ。BBCによると、飛行機の乗客は、感染者の3列以内に座っている場合、濃厚接触と見なされるという。
こうしたアプリは、政府が国民を広範に監視することによって実現できるものだ。中国国民は、全土に設置された防犯カメラのネットワーク、顔認識ソフトウェア、および人工知能(AI)の組み合わせによる監視で、匿名性を確保することはほぼ不可能だ。しかし、今回のアプリの機能にどの要素が使われているかは明確ではない。いずれにせよ、プライバシーや自由に対する姿勢が西側諸国と異なる中国では、このアプリが物議を醸す可能性は低そうだ。
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