KADOKAWA Technology Review
×
欧米で死に体の原発産業、
生き残り戦略はあるのか
Wikimedia Commons
カバーストーリー Insider Online限定
One secret to building affordable nuclear: stick with tried-and-true designs

欧米で死に体の原発産業、
生き残り戦略はあるのか

かつてカーボンフリー・エネルギー源として期待されていた原子力発電は、実際にはカネがかかりすぎることが分かり、新たな建設計画はほぼ姿を消した。天然ガス発電や風力・太陽光発電のコストが安くなる中、原子力発電の将来は非常に厳しいものになっている。 by James Temple2018.09.05

二酸化炭素を排出せず、かつ電力を24時間安定的に供給できる原子力発電は、電力産業を刷新する鍵となるかもしれない。だが、「原子炉を建設したい」という考えは、近頃では滅多に見受けられない。

原子力の未来を評価するMITエネルギー・イニシアチブの新たなレポートによると、「根本的な問題はコスト」だという。太陽光やその他エネルギーはより安価になってきているが、「新たな原子力発電所は、よりカネがかかるようになっている」と指摘する。

原子力発電所が寿命を迎えるまでに要する平均的エネルギーコストは、複合サイクル天然ガス発電設備、あるいは風力・太陽光発電基地に要するコストの2倍以上はかかる。加えて、アメリカ南部でボーグル(Vogtle)原子力発電所とバージル・C・サマー原子力発電所の両プロジェクトが派手に大失態を演じ、山のように膨らんだコストと作業の遅延によって東芝の原子力事業が破綻した。その結果、原子力発電所の建設事業に参入したがる企業や投資家は、ほとんど見られなくなった(「東芝の原子力事業崩壊は米国の原子炉新設と研究開発への大打撃になる」を参照)。

主な問題は、発電所の …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. The three big unanswered questions about Sora 時間も資金も溶かす? AI動画SNS「Sora」3つの疑問
  2. EV tax credits are dead in the US. Now what? 米EV減税が正式廃止、今後の動きをドイツの先例から予想
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
気候テック企業10 2025

MITテクノロジーレビューは毎年、気候テック分野で注目すべき企業を選出し、その一覧を発表している。 今回で3回目となる本特集では、なぜこれらの企業を選出したのか、そして米国の政治的変化をどのように考慮したのかについても詳しく解説している。併せてお読みいただきたい。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る