KADOKAWA Technology Review
×
IU35 2025受賞者が集結するSummitを12/17開催!来場申込受付中。
史上初の「商用DNAストレージ」、試作品がまもなく完成
Courtesy of CATALOG
ニュース Insider Online限定
The DNA data storage machine that’s the size of a school bus

史上初の「商用DNAストレージ」、試作品がまもなく完成

米国のスタートアップ企業がDNAにデータを保存する商用ストレージ・デバイスの開発を進めている。まもなく完成するプロトタイプでは1日あたり1テラビットのデータをDNAに書き込めるようになるという。 by Antonio Regalado2018.10.04

この世界はデータであふれている。だが、DNAを使えば、その膨大なデータを極めてコンパクトに保存できる。たとえば、地球上にあるすべてのiPhone、PCおよびサーバー・ラックの中に保存されたデータは、ジャグジー1杯分の遺伝文字(塩基)の中に収められる。さらに、DNAは耐久性にも非常に優れている。比較的涼しく乾燥した場所に保管すれば、何千年という期間にわたり保存することが可能だ。

この真新しい産業のスタートアップ企業の1つが、ストレージ・デバイスのプロトタイプの開発に向けた計画を明らかにした。そのデバイスはスクールバスの大きさを持つ巨大な機械だが、いつの日か映画やデータ書庫を、目に見えないほど小さいDNAペレットに変換できるかもしれない。カタログ・テクノロジーズ(Catalog Technologies)と英国企業のケンブリッジ・コンサルタンツ(Cambridge Consultants)は10月2日、このデバイスを共同開発していることを発表した。

すでに複数の研究チームが、GIF画像や書籍、ギフトカードおよびその他のデータをDNAに保存したり、DNAに保存したファイルを読み出したりすることが可能であることを明らかにしている。

問題なのは、データをA、G、C、Tの遺伝暗号に変換するのに時間がかかり、そのデータ情報を読み出すのが骨の折れる作業である点だ。カスタマイズしたDNAを製造する費用も高く、高解像度のDVD2枚分のデータを保存するのに100万ドル近くかかる。

カタログ・テクノロジーズは、同社のシステムの費用が従来よりも安いことを主張している。同社は、独自のDNA鎖を合成する代わりに、あらかじめ作られた安価な短いDNA鎖を組み合わせて、情報を保持する長いDNAに変えるプロセスを用いる。

カタログ・テクノロジーズの最高経営責任者(CEO)兼共同創業者であるヒュンジュン・パクは、上記のプロセスを、昔ながらの活版印刷機で金属製の活字を組み合わせて言葉に変えるプロセスに喩える。

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. Quantum physicists have shrunk and “de-censored” DeepSeek R1 量子技術でDeepSeekを55%小型化、「検閲解除」にも成功
  2. Promotion Innovators Under 35 Japan Summit 2025 2025年のイノベーターが集結「IU35 Summit」参加者募集
  3. Google’s new Gemini 3 “vibe-codes” responses and comes with its own agent グーグルが「Gemini 3」発表、質問に応じて回答形式もAIが判断
  4. How to help friends and family dig out of a conspiracy theory black hole 家族が陰謀論にハマったら: 専門家が語る、 5つの現実的アプローチ
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
気候テック企業10 2025

MITテクノロジーレビューは毎年、気候テック分野で注目すべき企業を選出し、その一覧を発表している。 新たなクリーン・エネルギー源の創出や、食品生産・物流の再構築といった形で経済の主要セクターの脱炭素化に取り組む注目企業10社を紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る