電子機器さらに小型化へ、北陸先端大のグラフィン製ナノスイッチ
MEMS(メムス)デバイスのサイズを今よりも小さくできれば、電子機器をさらに小型化できるはずだ。しかし、従来の手法で小型化すると、スイッチオフ状態での漏電が問題となる。北陸先端科学技術大学院大学の研究チームが初めて、シリコンチップで使えるグラフェン製スイッチを作製し、この問題を解決した。 by Emerging Technology from the arXiv2019.02.22
MEMS(メムス=微小電気機械システム、Micro Electro Mechanical Systems)デバイスは、みなさんもお持ちだろう。たぶん数十個は持っているかもしれない。MEMSデバイスは現代社会を埋め尽くしている。ちょっと数えただけでも、スマートフォンの加速度計やノートパソコンのマイク、デジタルプロジェクターのマイクロミラーなど枚挙にいとまがない。
MEMSデバイスは通常、数ミクロンの大きさだ。あらゆる基準に照らして小さいと言える。しかし、科学者やエンジニアは、可能であれば、ナノメートル規模までの小型化したいと考えている。そのようなサイズになったMEMSデバイスは、論理デバイスやメモリー素子の単純なスイッチとして使えるため、さらに強力で効率的なデータ処理機器の展望が開ける。
MEMSデバイスは通常、シリコンチップ上に加工される。しかしシリコンスイッチはオフの状態で漏電するため、小型化するにつれて効率が下がってしまう。優れた選択肢としてグラフェン(炭素原子のシート)製スイッチを使うことがある。グラフェン製スイッチはナノメートル規模での加工が容易で、従来のシリコンチップにも比較的容易に組み込めるうえ、スイッチをオフにした際にも漏電がない。
しかし1つ問題がある。グラフェンは、シリコンに触れると、急速に固着してしまう傾向があるのだ。曲がりやすいグラフェンの棒があり、その棒がシリコン電極に触れると回路が形成されるス …
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