KADOKAWA Technology Review
×
Facebookログイン終了のお知らせ(2026/3/31 予定)
全世界のWebから知識を構築、グーグル超え目指すAI企業
Ms Tech
人工知能(AI) Insider Online限定
This know-it-all AI learns by reading the entire web nonstop

全世界のWebから知識を構築、グーグル超え目指すAI企業

スタンフォード大学のスタートアップ企業であるディフボットは、何十億ものWebページに対して画像認識と自然言語処理を適用して、巨大なナレッジグラフを構築している。尋ねられた質問のすべてに対し、事実に基づく受け答えができる人工知能(AI)を構築するのが目標だ。 by Will Douglas Heaven2020.09.11

非営利の研究機関であるオープンAI(OpenAI)がこの7月に発表した最新の言語モデル「GPT-3」は、まるで人間が書いたかのような文章を大量に生み出す能力で人々を魅了した。人々は、GPT-3がどのようにコードを自動的に補完したり、スプレッドシートの空欄を埋めたりできるのかを披露し始めた。

その一例として、ツイッターの社員のポール・カットセンが、ツイートしたのが、GPT-3が勝手に列を埋めていく「スプレッドシートのすべてを支配する関数」だ。この関数は、ミシガン州の人口は1030万人、アラスカは1906年に州になった、などといった米国の州についてのデータを引っ張ってくる。

ただし、GPT-3は、ちょっとした嘘つきでもある。ミシガン州の人口が1030万人になったことはないし、アラスカが州になったのは1959年だ。

GPT-3のような言語モデルは模倣に長けているが、実際の話の内容のほとんどはわけのわからないものだ。「言語モデルは、ユニコーンのような架空の物語を生成するのは得意ですね」。スタンフォード大学のスタートアップ企業であるディフボット(Diffbot)の最高経営責任者(CEO)のマイク・タンはこう話す。「しかし、事実であることを訓練されてはいません」。

AIに信頼性を求めるのなら、このことは問題となる。そこでディフボットは、他の言語モデルとは異なるアプローチを採用した。それは、世界中のWebページを読み込み、可能な限り多くの事実を抽出する人工知能(AI)を構築するというものだ。

ディフボットのシステムはGPT-3と同様に、オンラインにある膨大な量の人間が書いたテキストを吸い上げて学習する。ただし、それらのデータを言語モデルの学習に使うのではなく、読み取ったものを主語、動詞、目的語の3つの部分から成る一連の疑似事実(ファクトイド)に変換する。

たとえば、私の略歴であれば、ディフボットはウィル・ダグラス・ヘブンがジャーナリストであること、ウィル・ダグラス・ヘブンがMITテクノロジーレビューで働いていること、MITテクノロジーレビューはメディア企業であることなどを学習する。これらの疑似事実は、何十億もの他の疑似事実と結びつき、無秩序に広がり互いに結び付いたネットワークを形成する。これは「ナレッジグラフ」として知られている。

ナレッジグラフ自体は新しいものではない。何十年も前から存在しており、初期のAI研究の基本的な概念だった。しかし、概して手作業で実施されてきたナレッジグラフの構築と保守は大変であり、「Webの父」であるティム・バーナーズ=リーが「セマンティックWeb」と呼ぶものはなかなか実現できなかった。ボットが航空券を予約したり、買い物をしたり、検索エンジンより賢い回答を提供したりできるように、人間だけでなく機械のための情報も、セ …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. This company claims a battery breakthrough. Now they need to prove it. すべてのパラメーターが矛盾——「出来すぎ」全固体電池は本物か?
  2. OpenAI’s “compromise” with the Pentagon is what Anthropic feared アンソロピック排除の裏で進んだオープンAIの軍事契約、その代償は
MITテクノロジーレビューが選んだ、 世界を変える10大技術

MITテクノロジーレビューの記者と編集者は、未来を形作るエマージング・テクノロジーについて常に議論している。年に一度、私たちは現状を確認し、その見通しを読者に共有する。以下に挙げるのは、良くも悪くも今後数年間で進歩を促し、あるいは大きな変化を引き起こすと本誌が考えるテクノロジーである。

特集ページへ
AI革命の真実 誇大宣伝の先にあるもの

AIは人間の知能を再現する。AIは病気を根絶する。AIは人類史上、最大にして最も重要な発明だ——。こうした言葉を、あなたも何度となく耳にしてきたはずだ。しかし、その多くは、おそらく真実ではない。現在地を見極め、AIが本当に可能にするものは何かを問い、次に進むべき道を探る。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る