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Sodium-ion batteries: 10 Breakthrough Technologies 2026 ナトリウムイオン電池

リチウムに代わる、より安価で安全かつ豊富な代替材料が、ついに自動車や電力網への導入を果たしつつある。

by Caiwei Chen 2026.02.08
VICHHIKA TEP/MIT TECHNOLOGY REVIEW | ADOBE STOCK
キープレイヤー
BYD、CATL、ハイナ・バッテリー(HiNa Battery)、ピーク・エナジー(Peak Energy)、ヤディア(Yadea)
実現時期
3〜5年後

数十年にわたり、リチウムイオン電池はスマートフォン、ノートパソコン、電気自動車(EV)に電力を供給してきた。しかし、リチウムの供給量が限られ、価格が不安定であることから、業界はより回復力(レジリエント)に優れた代替技術を模索するようになった。

ナトリウムイオン電池は、リチウムイオン電池とよく似た仕組みで、2つの電極間でイオンを往復させることでエネルギーを蓄え、放出する。しかし、現在少数の国でしか採掘されないやや希少な元素であるリチウムとは異なり、ナトリウムは安価で世界中に広く存在している。現在のナトリウムイオン電池はまだ大幅に安価とは言えないが、生産規模の拡大に伴いコストは低下すると見込まれている。

強力なEV産業を持つ中国が、この技術の初期普及を主導してきた。電池大手のCATL(寧徳時代)とBYD(比亜迪)は、この技術に多額の投資をしている。CATLは2021年に第1世代のナトリウムイオン電池を発表し、2025年には「ナクストラ電池(Naxtra Battery)」と呼ばれる製品ラインを立ち上げ、すでに大規模製造を開始したと主張している。BYDも中国国内でナトリウムイオン電池の大規模な生産施設を建設中である。

そして、この技術はすでに自動車に搭載され始めている。2024年にはJMEVがEV3車両にナトリウムイオン電池パックを搭載するオプションの提供を開始した。ハイナ・バッテリー(HiNa Battery)も低速EV向けにナトリウムイオン電池を導入している。

ナトリウムイオン技術がもたらす最も重要な影響は、道路上ではなく電力網に現れる可能性がある。太陽光や風力によるクリーンエネルギーの貯蔵は長らく課題であった。低コスト、優れた熱安定性、長いサイクル寿命を持つナトリウムイオン電池は、有力な代替手段として注目されている。米国のスタートアップ企業ピーク・エナジー(Peak Energy)は、すでにグリッド規模でのナトリウムイオン蓄電設備の展開を進めている。

ナトリウムイオン電池のエネルギー密度は依然として高性能リチウムイオン電池には及ばないが、毎年改良が進んでおり、小型の乗用車や物流車両にはすでに十分な性能を備えている。

この新しい電池は、より小型の電気自動車でもテストされている。中国では、スクーターメーカーのヤディア(Yadea)が2025年にナトリウムイオン電池を搭載した二輪車4モデルを発売し、深センを含むいくつかの都市では通勤者や配達員を支援するためのナトリウムイオン電池交換ステーションの試験運用が開始された。

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