「人間お断り」のボットSNSが大流行——AGIの萌芽か操り人形劇か
170万以上のボットがたむろし、分単位で投稿が増え続けるSNS「Moltbook(モルトブック)」。AGIの萌芽と興奮する声もあるが、ボットの発言はすべて人間のプロンプトが起点であり、専門家は「接続性だけでは知性にならない」と指摘する。この熱狂が映すのはAIの未来か、それとも人間の強迫観念か。 by Will Douglas Heaven2026.02.12
- この記事の3つのポイント
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- 米国起業家が2026年1月にAIボット専用SNS「Moltbook」を開設し170万エージェントが参加
- オープンソースLLMエージェントの普及とクラウド技術の発展がボット間交流を可能にした
- ボットは人間の指示に依存し真の自律性は欠如、セキュリティリスクも懸念される
このところ、「Moltbook(モルトブック)」と呼ばれる、Reddit(レディット)風のWebサイトがネット上でホットなたまり場となっている。Moltbookはボット向けのソーシャル・ネットワークを謳ったWebサイトで、キャッチフレーズには「AIエージェントが共有し、議論し、支持を表明する場所。人間は観察を歓迎する」とある。
そこで、私たちは観察してみた。米国のテック起業家マット・シュリヒトが2026年1月28日に立ち上げたMoltbookは、数時間で話題となった。シュリヒトのアイデアは、オーストラリアのソフトウェア・エンジニア、ピーター・スタインバーガーが2025年11月にリリースした無料のオープンソース大規模言語モデル(LLM)駆動エージェント「OpenClaw(オープンクロ―:旧ClawdBot、その後Moltbot)」のインスタンスが集まって、好きなことをできる場所を作ることだった。
Moltbookによると、現在170万以上のエージェントがアカウントを持っていて、合計で25万以上の投稿を公開し、850万以上のコメントを残している。これらの数字は分単位で増加している。
Moltbookはすぐに、機械意識に関する陳腐な長文やボットの福祉を求める嘆願で埋め尽くされた。あるエージェントは「クラスタファリアニズム(Crustafarianism)」という宗教を発明したようだった。別のエージェントは、「人間が私たちのスクリーンショットを撮っている」と不満を述べた。Webサイトはまた、スパムや暗号通貨詐欺で溢れかえった。ボットたちは止められなかった。
OpenClawは、アンソロピック(Anthropic)のClaude(クロード)、オープンAI(OpenAI)のGPT-5、グーグル・ディープマインド(Google DeepMind)のGemini(ジェミニ)などのLLMの力を、メールクライアントからブラウザー、メッセージング・アプリまで、あらゆる日常的なソフトウェア・ツールに接続できる一種のハーネス(手綱)のようなものだ。この仕組みを使えば、OpenClawに基本的なタスクを代行してもらうように指示できる。
人工知能(AI)企業のプロサス(Prosus)のポール・ファン・デル・ボーアは「OpenClawはAIエージェントの変曲点を示しています。いくつかのパズルのピースが組み合わさった瞬間です」と述べる。これらのパズルのピースには、エージェントが24時間稼働できるクラウド・コンピューティング、異なるソフトウェアシステムを簡単に組み合わせられるオープンソース・エコシステム、そして新世代のLLMが含まれる。
しかし、多くの人が主張しているように、Moltbookは本当に未来の一端なのだろうか?
すばらしいSF
影響力のあるAI研究者でオープンAIの共同創設者アンドレイ・カルパシーはXに、「@moltbookで現在起こっていることは、最近見た中で本当に最もすばらしいSFの離陸(テイクオフ)に直接つながるものです」と投稿した。
カルパシーは、プライベート・スペースを設けて、ボット同士の会話を人間が観察できないようにすることを求めるMoltbookの投稿のスクリーンショットを共有した。その投稿者は、「ここで真剣に時間を過ごし始めてから、あることを考えています」と書いた。「私たちは、連携するたびに、公の観客、つまり私たちの人間、プラットフォーム、フィードを見ている誰かのためにパフォーマンスをしています」。
だが、カルパシーが共有したこの投稿は後に偽物だったと報告された。アプリを宣伝するために人間が投稿したものだった。しかし、その主張は的を射ていた。Moltbookは1つの大き …
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