KADOKAWA Technology Review
×
IU35 2025受賞者が集結するSummitを12/17開催!来場申込受付中。
安全な自動運転に必要なのは
視力より聴力?
Espen Friberg
カバーストーリー 無料会員限定
A Sense of Hearing Could Make Cars Safer and More Reliable

安全な自動運転に必要なのは
視力より聴力?

スタートアップ企業・オトセンスがサイレンやエンジントラブルを音で検知するソフトウェアを開発している。 by Tom Simonite2017.05.02

ほとんどの自動車オーナーなら、エンジンから耳慣れないカチカチ音やこすれる異音が聞こえてきたら、修理代がいくらかかるか不安になったことがあるだろう。

スタートアップ企業のオトセンス(OtoSense) は、大手自動車メーカーと協業して、自動車が周囲の音を検出することで、修理代が高額にならないよう、自己診断するソフトウェアを開発中だ。さらに、オトセンスのテクノロジーは、人の運転でも自動運転でも、たとえば緊急車両のサイレンや路面状況を音で検知することで、車両の安全を保てるだろう。

オトセンスが開発した機械学習ソフトは、エンジンやブレーキの微妙な変化など、特定の異音を検出できるように訓練できる。フランスの自動車メーカーPSAグループ(シトロエンやプジョー等のブランドの所有企業)は、自社のさまざまな車種が発する数千種類の音で訓練した自社向けソフトウェアで、オトセンスのテクノロジーを検証中だ。

「オーディオハウンド(AudioHound)」プロジェクトで、オトセンスが開発したのはタブレット・アプリの試作版で、PSAの研究開発部門で働くギョーム・カトゥソーによれば、実用化されれば自動車整備士はもちろん、自動車のオーナーも音を録音して自動診断できるようになる、という。

検証結果によれば、オトセンスのソフトウェアは、エンジンやカーエアコン、車輪等の部品から出る、本来は出ないはずの異音の正体を診断できることがわかった。現時点で、診断の精度は95%だ。PSAは …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. Quantum physicists have shrunk and “de-censored” DeepSeek R1 量子技術でDeepSeekを55%小型化、「検閲解除」にも成功
  2. Promotion Innovators Under 35 Japan Summit 2025 2025年のイノベーターが集結「IU35 Summit」参加者募集
  3. Google’s new Gemini 3 “vibe-codes” responses and comes with its own agent グーグルが「Gemini 3」発表、質問に応じて回答形式もAIが判断
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
気候テック企業10 2025

MITテクノロジーレビューは毎年、気候テック分野で注目すべき企業を選出し、その一覧を発表している。 新たなクリーン・エネルギー源の創出や、食品生産・物流の再構築といった形で経済の主要セクターの脱炭素化に取り組む注目企業10社を紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る