49量子ビットの壁突破へ、
IBMがモデル化に成功
量子コンピューターが従来型コンピューターに対して圧倒的な優越性を示す「量子超越性」を実証するには、49キュービットの実装が目標とされている。IBMの研究者は数学的手法を駆使して、49キュービットを超える量子コンピューターの振る舞いをモデル化することに成功した。 by Will Knight2017.11.07
量子コンピューターは何十年もの間、大げさに宣伝され、ニュースの見出しを飾っていたが、従来型コンピューターよりも優れていることを実証する準備がついに整った。
だが、正確にはそれがいつになるのかは少しばかり曖昧だ。加えて、こうした魔法の機械が、目に見える影響を私たちの生活に与えるまでにはもう少し時間がかかりそうだ。
従来のコンピューターでは複雑すぎてモデル化できない計算を量子コンピューターが実行できる「量子超越性」として知られる目標地点は、およそ49キュービット(量子ビット)であると考えられている。キュービットは、量子コンピューターにおいて、従来のコンピューターで1か0を表すビットに対応するものだ。
49キュービットの量子コンピューターに関する競争では、グーグルの研究者が先陣を切っているように思われる(「グーグル、年内に「量子超越性」量子チップを実験へ」を参照)。しかしながら10月下旬に、ニューヨークのヨークタウンハイツにあるIBMの量子力学研究所の研究者が、いくつかの巧みな数学的手法を用いて、目標とされる49キュービットを超える量子コンピューターの振る舞いをモデル化できることを実証した。IBMはまた、IBM Qというクラウドプラットフォームをプログラマーに公開し、量子コンピューターを使った実験ができるようにしている。
「量子コンピューターの能力を測定する目標や測定基準がただ一つであるとは考えていません」と語るのは、新たなシミュレーションに関わっているIBMの研究者、ボブ・ウィスニーフ博士だ。「私たちは、量子機械が古典的なシステムよりも優れていることを示すいくつかの方法を積極的に調べています」。
量子コンピューターが有用であるためには、49キュービットよりもはるかに多くのキュービット数が必要だろう。最も良い評価方法は実際の問題を解かせてみることだろうが、いつそれができるようになるのかは、依然としてはっきりしない。それでも量子コンピュータは勢い …
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