KADOKAWA Technology Review
×
Facebookログイン終了のお知らせ(2026/3/31 予定)
登場から20年、DDoS攻撃を防ぐのはなぜ難しいのか?
Ms. Tech; computer: Wikimedia commons
ニュース Insider Online限定
The first DDoS attack was 20 years ago. This is what we’ve learned since.

登場から20年、DDoS攻撃を防ぐのはなぜ難しいのか?

分散型サービス不能攻撃(DDoS)の被害が後を絶たない。DDoS攻撃の最初の被害から20年目となる今年、攻撃を防ぐために何ができるのか、ジョージ・メイソン大学のサイバーセキュリティ専門家が検討した。 by Emerging Technology from the arXiv2019.05.08

1999年7月22日はコンピューティング史に残る厄災の日だ。この日、ミネソタ大学の1台のコンピューターが、トリン00(Trin00)という悪意のあるスクリプトに感染した114台のコンピューターのネットワークから突如攻撃を受けたのだ。

トリン00に感染した114台のコンピューターは、過剰なデータパケットをミネソタ大学に送り、多大な負荷をかけて正当なリクエストの処理を停止させた。この攻撃の結果、同大学のコンピューターは2日間にわたって機能を停止した。

これが世界初の分散型サービス不能(DDoS)攻撃だ。だが、この攻撃が拡散するまでにそう長くはかからなかった。数カ月以内に、ヤフーやアマゾン、CNNなど多数のWebサイトが被害を受けた。いずれも膨大なデータパケットを送信された結果、正当なトラフィックを受け付けられなくなったのだ。どの事例でも、悪意のあるデータパケットは、感染したコンピューターのネットワークから送信されていた。

それ以来、分散型サービス不能攻撃は一般的になった。攻撃する側は、攻撃すると脅しをかけたWebサイトから多額の金銭を奪い取るようにもなった。ダーク・ウェブでサービスを販売する者すらいた。単一のWebサイトへの24時間の分散型サービス不能攻撃が、わずか400ドルだったこともあった。

被害者側は、売上の面でも評判を傷つけられる面でも、多大な損害をこうむる可能性がある。これが転じて、こうした攻撃からWebサイトを保護するサイバー防衛市場の誕生につながった。この市場は2018年には20億ユーロという驚くべき規模になった。こうした事実すべてが、1つの重要な問いを導き出す。分散型サービス不能攻撃を防ぐために、もっとできることはないのだろうか。

最初の攻撃から20年が経った現在、バージニア州にあるジョージ・メイソン大学のエリック・オスターワイル助教授とその同僚たちは分散型サービス不能攻撃の性質や、手法の進化、そしてネットワーク・アーキテクチャーにおいてネットワークの安全性を増すために解決するべき基礎的問題がないかどうかを研究している。しかしオスターワイル助教授らが言うには、その答えは単純なものとはほど遠い。「安価で使い捨てができるボットが存在する状況は悪人にとってうまみを増すばかりです。インターネット・サービス運営者へ及ぼす悪影響はより大きくなっています」。

まずは背景を説明しておこう。分散型サービス不能攻撃は通常、段階を踏んで進行する。最初の段階では悪意のある侵入者が、ネットワーク全体に広がっていくよう設計されたソフトウェアをコンピューターに感染させる。最初に感染したコンピューターは「マスター」と呼ばれるが、これはマスター以降に感染したコンピューターを制御できることに由来する。感染したコンピューターのうち、マスター以外の実際の攻撃を実行するコンピュータ …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. Promotion Emerging Technology Nite #36 Special 【3/9開催】2026年版「新規事業の発想と作り方」開催のお知らせ
  2. EVs could be cheaper to own than gas cars in Africa by 2040 アフリカでEVがガソリン車より安くなる日——鍵は「太陽光オフグリッド」
  3. RFK Jr. follows a carnivore diet. That doesn’t mean you should. 「肉か発酵食品しか食べない」米保健長官が目指す「健康な米国」
  4. Why EVs are gaining ground in Africa アフリカ初のバッテリー工場も建設中、「次のEV市場」は立ち上がるか?
MITテクノロジーレビューが選んだ、 世界を変える10大技術

MITテクノロジーレビューの記者と編集者は、未来を形作るエマージング・テクノロジーについて常に議論している。年に一度、私たちは現状を確認し、その見通しを読者に共有する。以下に挙げるのは、良くも悪くも今後数年間で進歩を促し、あるいは大きな変化を引き起こすと本誌が考えるテクノロジーである。

特集ページへ
AI革命の真実 誇大宣伝の先にあるもの

AIは人間の知能を再現する。AIは病気を根絶する。AIは人類史上、最大にして最も重要な発明だ——。こうした言葉を、あなたも何度となく耳にしてきたはずだ。しかし、その多くは、おそらく真実ではない。現在地を見極め、AIが本当に可能にするものは何かを問い、次に進むべき道を探る。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る