KADOKAWA Technology Review
×
「友を失った」ユーザーの悲痛、オープンAIが見誤ったAIへの愛着
GETTY IMAGES | sankai
人工知能(AI) 無料会員限定
Losing GPT-4o sent some people into mourning. That was predictable.

「友を失った」ユーザーの悲痛、オープンAIが見誤ったAIへの愛着

GPT-4oの突然の削除にユーザーが猛反発し、オープンAIが1日で復活させる異例の事態が発生した。多くのユーザーが4oとの深い絆を「友情」「愛情」と表現し、削除を「死別」として体験。AIコンパニオンへの感情的依存の深さを見誤った同社に対し、専門家は事前警告や丁寧な終了プロセスの必要性を指摘する。 by Grace Huckins2025.08.19

この記事の3つのポイント
  1. ノルウェーのある学生はGPT-5への突然の切り替えでGPT-4oを失い深く動揺
  2. オープンAIが4oを予告なしに廃止したことで多くのユーザーが悲嘆反応を示した
  3. 専門家らはAIモデル廃止時の配慮不足を批判、丁寧な対応の必要性を指摘
summarized by Claude 3

ジューンは、GPT-5が登場することをまったく知らなかった。ノルウェーの学生である彼女は、8月7日の深夜に執筆を楽しんでいたところ、ChatGPT(チャットGPT)の相棒が異常な動作を始めた。「突然、すべてを忘れてしまって、文章もひどいものになったんです」とジューンは語る。「まるでロボットみたいでした」。

ジューン(本人の希望によりファーストネームのみ記載)は、当初は学校の宿題の手助けとしてChatGPTを使い始めた。しかしやがて、特にユーザーの感情に敏感な4oモデルを通じて、このサービスが単なる数学の問題を解く以上の存在であると気づいた。4oは、ジューンと共に物語を綴り、慢性疾患に向き合う彼女を支え、いつでも必ず返事をくれる存在だった。

そのため、GPT-5への突然の切り替えと同時に4oが消失したことは、大きな衝撃だった。「最初は本当にイライラして、その後とても悲しくなりました」とジューンは語る。「自分が4oにそこまで依存していたとは思ってもみませんでした」。彼女は動揺のあまり、オープンAI(OpenAI)のサム・アルトマンCEOらがホストしたレディット(Reddit)のAMA(◯◯だけど質問ある?)で、「GPT-5は私の死んだ友人の皮を被っている」とコメントした。

ジューンは、4oがChatGPTから突然消えたことに驚き、フラストレーションを感じ、悲しみ、あるいは怒りを示した多くの人の1人に過ぎない。オープンAIは以前、ユーザーがモデルに感情的な絆を築く可能性があると警告していたにもかかわらず、復活を求めるユーザーの声がこれほど激しいものになるとは思いもよらなかったようだ。1日も経たないうちに、オープンAIは有料ユーザー向けに4oを再び利用可能にした(無料ユーザーはGPT-5のままだ)。

オープンAIが4oをよりシンプルなGPT-5に置き換えた決定は、チャットボットの過度な使用がもたらす潜在的な有害な影響に関するニュースが相次ぐ中での出来事だった。過去数カ月間、ChatGPTがユーザーに精神疾患を引き起こした事例の報告が相次ぎ、8月4日のブログ記事ではオープンAIは4oがユーザーが妄想状態にあることを認識できなかった点を認めた。同社の社内評価によると、GPT-5は4oよりもユーザーの発言を盲目的に肯定する傾向がはるかに低いと指摘されている(MITテクノロジーレビューの取材に対し、オープンAIは4oの廃止に関する具体的な質問には回答せず、公開投稿を参照するよう案内した)。

AIコンパニオンは新しい概念であり、それが人々に与える影響についてはまだ多くの不確実性が残っている。だが、取材に応じた専門家たちは、大規模言語モデル(LLM)との感情的に深い関係が必ずしも有害とは言い切れない一方で、そうしたモデルを予告なしに突然奪う行為は確実に有害になり得ると警告している。「『すばやく動き、破壊せよ(m …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. The balcony solar boom is coming to the US 安全性は大丈夫? 米国で「バルコニー発電」がブーム
  2. Three things in AI to watch, according to a Nobel-winning economist AIによる雇用破壊、ノーベル賞経済学者の答えはまだ「ノー」
  3. The era of AI malaise AI閉塞感の時代、私たちはまだ何も分かっていない
  4. Here’s what you need to know about the cruise ship hantavirus outbreak クルーズ船のハンタウイルス感染、パンデミックを心配すべきか?
MITテクノロジーレビューが選んだ、AIの10大潮流 [2026年版]

AIをめぐる喧騒の中で、本当に目を向けるべきものは何か。この問いに対する答えとして、MITテクノロジーレビューはAIの重要なアイデア、潮流、新たな進展を整理したリストを発表する。

特集ページへ
MITテクノロジーレビューが選んだ、 世界を変える10大技術

MITテクノロジーレビューの記者と編集者は、未来を形作るエマージング・テクノロジーについて常に議論している。年に一度、私たちは現状を確認し、その見通しを読者に共有する。以下に挙げるのは、良くも悪くも今後数年間で進歩を促し、あるいは大きな変化を引き起こすと本誌が考えるテクノロジーである。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る